Azure Machine Learning パートナーによるお客様への技術支援


このポストは、7 月 14 日に Machine Learning Blog に投稿された How Azure ML Partners are Innovating for their Customers (著者: Joseph Sirosh) の翻訳です。

今回は、マイクロソフトで機械学習担当コーポレート バイス プレジデントを務める Joseph Sirosh の記事をご紹介します。

先日マイクロソフトは、Azure Machine Learning (Azure ML、英語) のプレビューをリリースしたことを発表しました (英語)。お客様とパートナーの皆様は、すぐこちらをご利用いただけます。Azure ML は、高度な分析 Web サービスを数分で発行しエンタープライズ クラスの堅牢なアプリケーションを構築できるサービスで、クラウド内で完全に管理されます。ML は多くのお客様やパートナーにとってまだ新しい技術であるため、マイクロソフトは今年の Worldwide Partner Conference に間に合うように、ML のオンライン学習用アセットを集約した Machine Learning University (MLU、英語) をご用意しました。この MLU には、データのインポートや整理から、予測モデルの構築、本番用 Web サービスのデプロイに至るまでのデータ技術ライフサイクルの手順が含まれています。パートナーの皆様はこれを活用して、Azure ML を準備し実行することができます。また、個人向けトレーニング イベントや製品の定期的な更新情報、その他さまざまな Azure ML 関連の資料にも MLU からアクセスできます。

ML について私が投稿した前回の記事 (英語) では、Azure ML の登場によって ML アプリケーションの構築方法が大きく変化したことについて説明しました。今回の記事では、マイクロソフトのパートナーが ML を利用することで、お客様向けソリューションの構築期間をどのように効率化したかについてご紹介します。

お客様が抱える膨大な量のデータを有用な情報に変換するための支援を行うのが、Azure ML パートナーの役割です。Azure ML パートナーは、分析に関する専門的な知識と幅広いノウハウを持っています。MAX451Neal AnalyticsOSIsoftVersium といったパートナー各社には、Azure ML を使用してお客様の環境にエンタープライズ クラスの予測分析ソリューションをデプロイした実績があります。これらのパートナーはこれまでさまざまなタイプのソリューションを開発していますが、どれもすばらしいものばかりです。ここではこの 4 社のパートナーの事例と、パートナーおよびそのお客様のコメントをご紹介します。

MAX451: Pier 1 Imports の顧客の購入傾向予測をサポート

1,000 以上の店舗を運営する Pier 1 Imports (英語) は、家具や室内インテリアを販売しており、顧客にとっての身近な店舗づくりを目指しています。同社では最近、「1 Pier 1」と呼ばれる複数年計画のオムニチャネル戦略を開始しました。この戦略では、顧客をより深く理解し、Pier 1 ブランドとのすべての接点からこれまでよりも個々の顧客の好みにマッチしたエクスペリエンスを提供することを主な目的としています。

MAX451 (英語) は、Pier 1 Imports の顧客が次に購入しそうな製品や、その購入方法と受け取り方法を予測するための Azure ML ソリューションを構築しました。Pier 1 Imports のマーケティング担当エグゼクティブ バイス プレジデントの Eric Hunter 氏は次のように述べています。

「お客様との関係を深めることは、私たちにとって非常に重要です。データからできるだけ多くの有用な情報を得ることによって、お客様が望むタイミング、場所、手段を把握し、お買い物をお手伝いすることができます。また、予測分析を行うことで、お客様に気に入っていただけそうな商品を提示し、次のご来店に結びつけることができます。さまざまなメディアを活用してお客様の好みに合わせたメッセージを提示すれば、Pier 1 Imports をご利用いただく頻度を向上させることができます。今のテスト段階では、お客様に次回提示する商品の予測精度を 40% 以上向上することに取り組んでいます。これまでは、データを有用な情報に変換するためにはかなりの時間を要していましたが、今ではこれをわずか数日にまで短縮することができました。」

Pier 1 Imports の CIO である Andrew Laudato 氏は次のように述べています。

「マイクロソフトは高度な予測データ分析や機械学習といった複雑なシステムを開発し、クラウドからアクセスできるように構築しています。Pier 1 Imports はこの取り組みに協力しています。弊社が特に意義があると感じているのは、自社のアナリストが、データを有効活用するための複雑なアルゴリズムに気を取られることなく、分析結果を活用することだけに集中できる点です。このプロジェクトでは実際にアナリスト チームが短期間で有意義な結果を得ることができたため、非常に満足しています。

Pier 1 Imports は MAX451 のようなコンパクトで敏捷性の高いパートナーとコラボレーションできたことを大変嬉しく思っています。」

MAX451 の CEO である Kristian Kimbro Rickard 氏は次のように述べています。

「MAX451 ではすべての業務をクラウド上で行っています。弊社が提供するサービスと製品は、既にクラウドをご利用中のお客様、およびクラウドに移行中のお客様に向けたものであり、マイクロソフトの機械学習製品を活用することで、多くのデータ技術コンサルタントの力を借りなくともお客様のお役に立つことができるようになりました。弊社は小規模で敏捷性が高いことを特長としており、スピード感のあるサービス提供が可能です。マイクロソフトの機械学習製品を使用することにより、高いスキルを持つ高給のコンサルタントを採用しなくとも、このスタイルを維持したまま弊社の最高のサービスをこれまでと変わりなく提供することができます。」

Neal Analytics: 電子商取引サイトのマーケティング予算を最適化

Neal Analytics (英語) は、検索語句から大規模な電子商取引サイトのマーケティング予算を最適化し、同サイトのトラフィックを増加させるための Azure ML ソリューションを開発しました。検索企業各社は、オークションを利用して検索語句ごとに広告をランク付けし、コンテンツの品質によって入札価格を調整しています。Neal Analytics が開発したソリューションでは、オークションの入札価格がどれだけ上昇するかを予測し、特定の検索語句の順位を上げることができます。競争相手が検索語句の入札価格を定期的に変更することは少ないため、これを適宜行い、タイミングよく入札に対応する戦略を取ることで、競争相手に対して有利な位置に立つことができます。

Neal Analytics には、頻出度の低い大量のキーワードの入札価格を最適化するための予測モデル ソリューションを構築する必要がありました。デプロイ作業と保守作業が簡単なソリューションである必要があったほか、この分量を処理するためのまったく新しい R/Linux コンピューティング スタックを立ち上げることは回避したいと考えていました。また、デプロイ、テスト、モデルの再調整を即座に行い、常に最新のトレンドから遅れないようにすることも必要でした。Azure ML はこの点で最適な選択肢であり、データ技術者がビッグ データ用コンピューティング インフラストラクチャをセットアップするという煩雑な作業に気を取られることなく、本来の仕事に集中できるようにすることができました。Neal Analytics の CEO 兼社長である Dylan Dias 氏は次のように述べています。

「…Azure ML のスケーラビリティが高いのは Azure で構築されているからであり、高速性、正確性、TCO の面で他のオプションよりもずっと優れていました。Azure ML の学習曲線は非常に短く、運用開始までの期間も短いため、採用しやすいという特長があります。また、データ技術者の能力を伸ばせるというメリットもあり、比較的経験の浅いアナリストも効率的に仕事を進めることができるようになりました。Azure ML の活用はデータ技術者の学習に役立つだけでなく、情報化および対応開始までの指標時間を大幅に短縮 (2 ~ 4 分の1) することにもつながります。少ない労力で大きな効果が得られ、その結果クライアントの満足度向上にも効果があるのです。」

OSIsoft: カーネギー メロン大学の省エネ対策に貢献

カーネギー メロン大学 (英語)建築物性能診断センター (英語) では、同大学のキャンパス内にある建物のエネルギー効率を改善しつつ利用者の快適性を高いレベルで維持するために、ハードウェアとソフトウェアを統合したソリューションを開発しています。同センターでは利用者の満足度に影響する重要な要素を特定するために、この 10 年間に実地調査や計測を幾度となく行ってきました。たとえば、冷暖房のエネルギー消費の予測には天気予報などの外部的な要素も役立ちますが、同センターでは、そうしたあらゆるデータを活用して建物の全体的なエネルギー効率を向上させるシステムを構築することを目標としていました。そこでソリューション構築のための欠かせない要素として浮上したのが、ML です。

同センターでは OSIsoft (英語) と協力して、さまざまなリアルタイム データを OSIsoft PI System (英語) で収集し、建物のエネルギー効率の予測、欠陥の検出、問題を緩和するための対応をリアルタイムで行い、コストを削減するためのシステムを開発しました。このシステムがデプロイされた後、同大学では一部の建物でエネルギー効率が最大 30% も向上しました。このプロジェクトを担当したカーネギー メロン大学の研究員である Bertrand Lasternas 氏は次のように述べています。

「プラットフォームに依存しない Web ベースの機械学習ソリューションは、私たちにとって非常に魅力的でした。実装が簡単なため、データ技術者でなくても、さまざまなバックグラウンドを持つ多数の研究者が機械学習を活用できました。Azure ML ソリューションは、既存のシステムと同等の正確性を持ちながら、セットアップの容易さや統合性が優れています。シームレスな統合を成功させるうえで重要な役割を果たしているのが、RESTful API です。これにより、シームレスなストリームを迅速にセットアップして既存のソリューションに統合できるため、データ処理の面で非常に優れているといえます。」

OSIsoft では、研究開発部門責任者の Gregg Le Blanc 氏がこの新技術の評価を担当しました。彼は複数の ML テクノロジを評価した結果、次のように述べています。

「Azure ML は即応性と性能のバランスが良い点が特長です。弊社のインフラストラクチャではリアルタイム操作機能の開発に長年取り組んできました。その最終的な目標は、問題点をセンサーのリアルタイム データから検出するよりも先に、予測できるようにすることです。弊社では Azure ML を使用して、PI System が取得したデータに基づいてさまざまなアクションを取った場合の影響を予測する能力を調査し、そのデータを予備調査のために PI System に保存しています。ここで得られた結果は、お客様の予測性を向上してテストの必要性を削減し、可能な限り短い期間で業務を効率化するための最適なバランスを実現するために役立つと考えています。」

Versium: ギフト カードの不正使用の予測性向上に貢献

Versium (英語) は、LifeDataTM (英語) という予測分析スコアリング サービスを展開しています。購入傾向、社会的行動、人口統計データ、財務情報などの幅広いデータから得られた 4 兆を超える実生活に関する属性値をまとめて、顧客の動向に対する独自のデータを作成しており、企業のプロモーションやマーケティング キャンペーンに役立てています。

Versium は、大手小売店と共同でギフト カードの不正購入の検出に取り組んでいます。この小売店では既存のルールに基づくシステムを活用してこのような不正を検出していますが、誤検知 (不正の予測の失敗など) が大量に発生していたため、このようなエラーを最小化しつつ不正を防止することが同小売店にとっての重要な課題となっていました。Versium は Azure ML で予測モデル ソリューションを即座に構築してテストを行いました。その結果、従来のルールに基づくシステムで検出された 1,000 回分の取引のうち、実際に不正であったのはわずか 6% であることがわかりました。この結果が出たことで、小売店の顧客満足度と売り上げは大きく上昇しました。Versium の CEO である Chris Matty 氏は次のように述べています。

「(Azure ML の) 主な特長は、機械学習処理、モデルのデータや指標をすべてインタラクティブに視覚化し、モデル構築後はすぐに Web サービスに発行できることです。私たちがデプロイしたこれらのソリューションは、特に不正利用の予測などで高い価値を発揮するミッションクリティカルなものです。この場合、正確性、スピード、セキュリティが重要視されますが、そのすべてが評価に値するレベルに達しています。さまざまなスコアリング システムをデプロイし、モデルの構築、調整、評価を数日間で実施できることも大きな特長です。Azure ML プラットフォームを使用することで、パートナーが開発したエンタープライズ CRM、マーケティング ツール、その他の内部データ要素と組み合わせて、数日間で Versium の自社サービスである LifeData™ を使用する予測スコアリング システムを作成し、デプロイできるようになりました。」

まとめ

機械学習アプリケーションは優れたツールである一方、狭い分野に特化されていることが多く、クライアントのデータを収集し中身をよく理解するためには大変な作業が伴い、クライアントのソフトウェア ソリューションとの統合にも手間がかかってしまうことは珍しくありません。しかし、マイクロソフトには幅広い分野の専門知識を備えるパートナーの存在があります。マイクロソフトのパートナー各社は、顧客のデータを有用なビジネス情報に変換し、クラウド ホスト型の ML ソリューションの進化を支援していくというマイクロソフトと同じ熱意を持っています。マイクロソフトはパートナーと共に、今後も無限の可能性に挑戦していきます。

Joseph Sirosh

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