2015 年 10 月~ 12 月の注目記事のご紹介 (パート 1)

 

本記事は、マイクロソフト本社の The Visual Studio Blog の記事を抄訳したものです。 【元記事】 Top News from October-December 2015, Part 1 2016/1/26 10:00 AM

前回の開発者向けの注目記事のまとめを公開してから数か月が経過しました。今回は、昨年秋からのニュースを 2 回に分けてお伝えします。このパート 1 では、Visual Studio、.NET、ASP.NET、言語、その他いくつかのツールについてお伝えします。パート 2 では、Connect(); //2015、Windows 10、クロス プラットフォーム開発、Visual Studio Code、その他のさまざまなトピックを扱います。それでは見ていきましょう。

Visual Studio Update 1: Visual Studio Update 1 は 10 月に CTP、11 月に RC、12 月に RTM と、ほぼ月に 1 回のペースでリリースされ、それぞれ John Montgomery が記事を書きました。すべての機能と変更点の一覧は、Update 1 RTM のリリース ノートからご確認いただけます。ここではその中から特に重要なものをご紹介します。

  • C# Interactive ウィンドウおよびコマンドライン型の C# REPL ウィンドウ : Interactive ウィンドウとは Visual Studio 内の REPL ウィンドウです。Channel 9 の Kasey Uhlenhuth のビデオ (英語、11 分 41 秒) で簡単なデモをご覧いただけます。
  • /BigObj in C++エディットコンティニュ機能のサポート : この強力なデバッグ機能を Windows ストアの C++ プロジェクトで使用できるようになりました。
  • [Go To Implementation] コマンド : インターフェイスまたは抽象メソッドの定義を右クリックして 、実装箇所に移動できます。

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  • チームエクスプローラーの [Pull Requests] ウィンドウ : [Pull Requests] ハブから、ユーザーが作成したリクエストや他のユーザーのリクエストを確認できます。Visual Studio Update 1 では [Create Pull Request] の操作も改良され、1 つのアクションでブランチの発行とプル リクエストの作成を実行できます。

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プロファイリング ( 英語 ) Linux のリモート デバッグ ( 英語 ) IntelliTest : Visual Studio 2015 では、多数のツールが強化されました。これらについてそれぞれ説明します。まず、Nikhil Joglekar の記事にあるように、デバッガーで CPU をプロファイリング (英語) できるようになりました。これにより、CPU 使用率のグラフを表示し、コードにブレークポイントを設定して段階的に実行する際に、CPU 負荷の高いコードがないかどうかを確認できます。11 月に Marc Goodner がリリースを発表した Visual Studio GDB Debugger 拡張機能 (英語) では、IoT デバイスを含むリモートの Linux デバイスのデバッグが可能です。この機能は、Azure で実行されている Linux VM に対しても使用できます。Prakash Patel が執筆した JavaScript のリモート デバッグ機能に関する記事 (英語) も併せてお読みください。Breakpoint Generator 拡張機能 (英語) は、アクティブなソリューションのソース コードを自動的にスキャンしてパブリック メソッド (プログラムのエントリポイントとしてよく使用されます) を検出し、各メソッドの開始位置にブレークポイントと構成可能なトレース メッセージを追加します。そして、Visual Studio Enterprise Edition を使用している開発者の皆様にとって、おそらく最も興味深いのが IntelliTest for .NET でしょう。Pratap Lakshman がこちらの記事で説明しているように、この機能により、わずかなコストでコード カバレッジの高い単体テスト スイートを生成できます。Channel9 の IntelliTest のビデオ (英語、34 分 45 秒) では、デモをご覧いただけます。ぜひこの機能を利用して .NET コードの単体テストを実施してください。

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.NET の最新機能 : .NET Framework 4.6.1 が発表され、さまざまな機能強化が大きな注目を集めています。WPF の機能強化については、Harikrishna Menon の記事 (英語) で詳しく説明されています。また、Pangea Engineering の Omar Khudiera 氏が執筆した「.NET を選ぶ理由 (英語)」では、Go や Java と比較しながら .NET のメリットをご紹介しています。また、オープン ソースのクロス プラットフォーム対応 .NET Core (現 .NET Core 1.0 (英語)) をめぐる動きも活発になっており、.NET Core の説明ビデオ (英語、7 分 8 秒) では、Richard Lander が概要を説明しています。.NET Core は Windows 10 のユニバーサル Windows アプリの重要なコンポーネントでもあります。これについては Lician Wischik が .NET for UWP: CoreFx (英語、3 分 8 秒) という短いビデオで説明しています。さらに、.NET Core はあらゆるプラットフォームで動作し、Linux にも対応しているため、Docker コンテナーでも使用することができます。これについては、Elton Stoneman が .NET と Docker の使用開始に関する記事 (英語) で説明しています。Docker については、昨年夏の注目記事のまとめの冒頭でもご紹介したように、Adarsha Datta が「Docker: 新興企業でコンテナー化を活用 (英語)」というシリーズで説明しています。

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ASP.NET ( 英語 ) : ASP.NET ブログ (英語) (または Scott Hanselman のブログ、英語) でご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、ASP.NET 5 の名称が正式に ASP.NET Core 1.0 に変更され、同時に .NET Core 1.0 および Entity Framework 1.0 (旧称 Entity Framework 7) も名称が変更されました。この名称変更は、従来の “ASP.NET 5” が ASP.NET 4.6 の代わりではなく、“Core” リリースにより新たな領域へと進むことを意味しています。Hanselman は、これを「分岐点」と表現しています。とはいえ、“ASP.NET 5” 関連の資料の中には、Scott Hunter の ASP.NET 5 および Web ツールの説明 (英語) のビデオ (14 分 51 秒)、Dan Wahlin の最先端の Web 開発 (英語) に関する詳細な説明ビデオ (48 分 8 秒)、Abhinaba Basu の ASP.NET 5 Web アプリケーションをローカルの IIS に発行する方法 (英語) に関するブログ記事など、そのまま応用できるものが多数あります。もちろん、ASP.NET 4.6 の取り組みも継続されます。その 1 つである Webhook (英語) については、Scott Hanselman の「ASP.NET Webhook レシーバーの概要 – Webhook により簡単に (英語)」でご紹介しています。また、Hanselman の低帯域幅接続のシミュレーション (英語) に関する記事も併せてお読みください。

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C# ( 英語 ) C++ ( 英語 ) TypeScript ( 英語 ) JavaScript ( 英語 ) : パート 1 の最後は、言語に関する機能についてお伝えします。まず、Mads Torgersen のビデオ (58 分 15 秒) では、C# 7 の今後の展望 (英語) が語られています。C++ 開発者に向けては、開発者の Bjarne Stroustrup 氏自身による優れた C++14 コードの作成方法に関する CppCon2015 のセッション (英語、1 時間 42 分) が公開されています。C++ 開発の最先端を知りたい方は、C++ の試験用エディター ツール (英語) の記事をお読みください。このツールは、Gabriel Ha の説明 (英語) にもあるように、Visual Studio 2015 で有効または無効にすることができます。JIT 関連では、Bill Ticehurst が TypeScript の新機能 (英語) のビデオ (12 分 7 秒) を公開しています。また、David Catuhe は「C#/UWP アプリケーションでの JavaScript フレームワークの使用 (英語)」および「JavaScript での非同期処理の活用 (英語)」という 2 本の記事を公開していて、後者では ECMAScript 6 の最新情報について述べています。12 月には、Microsoft Edge の “Chakra” JavaScript エンジンのオープン ソース化が発表され、1 月にはそのリポジトリが公開されました (英語)

clip_image010最後に、マイクロソフトで 27 年間勤務した Soma Somasegar が退職することとなりました。Mary Jo Foley 氏による Soma の退職インタビュー記事では、これまでの経歴と四半世紀を超える在任期間中に起きたさまざまな変化についてお読みいただけます。この中で、Somasegar は「私は開発者の選択を尊重しています。マイクロソフトは、優れたツールやプラットフォームを開発し、開発者が必要とするときに必要な選択肢を提供できる場所でした」と述べています。この伝統は、マイクロソフトのデベロッパー部門に浸透し、今後も長きにわたって受け継がれていきます。
Somasegar に感謝の意を表します。

 

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Kraig Brockschmidt (Visual Studio シニア コンテンツ開発者) @kraigbro

Kraig Brockschmidt は1988 年からマイクロソフトで開発者のソフトウェア開発支援に取り組んでいます。現在は Xamarin および Cordova のクロス プラットフォーム対応モバイル アプリ開発に関するコンテンツの作成に携わっています。また、MSDN Magazine で記事を執筆するほか、マイクロソフト プレスから『Programming Windows Store Apps with HTML, CSS and JavaScript』 (1、2 版) および『Inside OLE』 (1、2 版、絶版) といった著作が出版されています。kraigbrockschmidt.com (英語) でも執筆活動を行うと共に、さまざまな開発者向けカンファレンスにも登壇しています。