HoloLens や Raspberry Pi 2 も!Windows 10 アプリが動く 10 以上の多彩なデバイス

待望のWindows 10 がついにリリースされました!

これまでは デスクトップ向け、モバイル向け、組み込み機器向け…というようにデバイスごとに Windows OS が提供されていましたが、Windows 10 で導入された「Windows 10 Core」であらゆるデバイスを 1つの OSでカバーできるようになりました。

 

■ マルチデバイスに対応した Windows 10

1つの OS で様々なタイプのデバイスをサポートした Windows 10 ですが、実際には、Windows 10 コアと呼ばれる共通部分と「デバイスファミリー」呼ばれるデバイス固有部分がデバイスごとに区分されていて、PC 用, スマートフォン用、組み込み機器用のようにデバイスファミリーに応じた Windows 10 のエディションが用意されています。

Windows One Core

現在、すでにデバイスに対して公開されているデバイスファミリーは、Desktop, Mobile, IoT, Surface Hub の4つがあり、Xbox, HoloLens が新しいデバイスファミリーとして今後追加されていきます。

Windows10_デバイスファミリー

 

 

■ Mobile デバイス ファミリー

Lumia やMASDOMA が Windows 10 対応!アップグレード方法に注意

Mobile デバイス ファミリーは、Qualcomm Technologies, inc 社の指定されたプロセッサ、もしくは Intel 社製 SoFIA LTE を搭載し、8 インチ未満の画面を有するデバイスを対象としたデバイスファミリーです。現時点で主な対象となるデバイスはスマートフォンで、OSは Windows 10 Mobile がサポートされます。

Windows 10 Mobile は従来の Windows Phone 7/8 シリーズと下位互換を持ち、既存の Windows Phone 用のアプリケーションもストアからダウンロードして利用することができます。更に、Windows 10 Mobile では、搭載端末にモニター、マウス、キーボードを接続して使うことができる「Windows 10 Continuum for Phones」機能が発表されるなど、よりさまざまな場面で活用できる機能が大きな注目を集めています。

Microsoft Emulator for Windows 10 Mobile

基本的には Windows Phone 8.1 が Windows 10 Mobile 無償アップグレード対象となっており、更新の際には Wi-Fi  経由でイメージを提供する OTA (Over The Air) からアップグレードします。

Windows 10 Mobile 上でアプリケーションの動作確認を行う場合は、プレビュー版の Windows 10 Mobile Insider をインストールしたデバイスを使用するか、Windows 10 SDK 同梱される「Microsoft Emulator for Windows 10 Mobile」を使用します。Microsoft Emulator for Windows 10 Mobileは Hyper-V 上で動作するため、インストールするPCのHyper-V が有効化されている必要があります。

 

■ Desktop デバイス ファミリー

デバイスのバリエーションがとにかく豊富!

Desktop デバイス ファミリーはデスクトップ版 Windows 10 がサポートされ、対象となるデバイスはタブレット,ノートPC, 2 in 1, オールインワン、デスクトップ PC といったいわゆる “PC” です。

Winodws 10 対応 主なPCリスト で Windows 10 にアップグレード可能な PC を確認すると、従来のラップトップやデスクトップ PC に加えて、PC とタブレットの2つのスタイルで利用可能な 2-in-1 PC、8 インチクラスに代表されるタブレット、20 インチ以上のディスプレイ一体型のオールインワンモデルなど多様なデバイスがあることがわかります。

Windows 10 の動作対象となるデバイスに付属しているディスプレイサイズや入力機器などの種類や台数が圧倒的に多いのがこのデバイスファミリーの特徴です。

Windows 10 Desktop デバイス ファミリー対応デバイス

Windows 10 の無償アップグレード対象となる OS が Windows 7 SP1 と Windows 8.1 なので、Windows 7 がリリースした 2009 年 6 月以降の 6 年間にリリースされた膨大な数の PC も対象になります。

このように古いデバイスや軽量なタブレットも対象になっていることから、対象となる CPU は X86/X64 命令セットとの互換性を持つ 1GHz のプロセッサ または Soc 、メモリは 1GB 以上(64 ビットの場合は 2GB 以上)と、一般的な PC のスペックに比べて低いスペックでも動作できるように設計されています。そのためアプリケーションを開発するときには、低スペックの環境での動作確認をお勧めします。

PC上で開発する場合は、その環境で開発からデバックまで行うことができますが、タブレットデバイスで動作確認をする場合は、同一ネットワークを経由したリモートデバッグを使って検証することができます。

 

■ IoT デバイス ファミリー

開発ボードだけが Windows 10 の IoT ではない!

Windwos 10 は組み込み機器に代表される IoT デバイスにも対応しています。OS は Windows 10 IoT ですが、実は IoT 向けの Windows 10 はデバイスタイプに応じて 3 つのエディションが用意されています。

1 つは、Raspberry Pi 2 や MinnowBoard MAX などの開発ボードを中心にサポートしている 「Windows 10 IoT Core」、そして、エレベーター、POS、ATM、医療機器などの大型の組込機器をサポートする「Windows 10 IoT Enterprise Insider Preview」、さらに店舗の携帯用発注端末などの小型の組込機器をサポートする「Windows 10 IoT Mobile Insider Preview」です。

IoT 機器 = 開発ボード といったイメージが多いかもしれませんが、このように製造、ヘルスケア、金融、流通など、あらやる分野の機器も Windows 10 IoT デバイスファミリーの対象になります。

Windows 10 IoT デバイス ファミリー対応デバイス

IoT は 2020 年には世界で 255 億のデバイスがネットワークにつながり、ビジネス規模が 7.2 兆ドルと予測される巨大な市場です。今後更なる市場の盛り上がりと共に Windows 10 対応の新しい IoT デバイスが続々登場してくる事でしょう。

 

■ Surface Hub デバイス ファミリー対応デバイス

Windows 10 Surface Hub

Surface Hub と PC は利用目的が全く異なる!

Microsoft が発表した大画面パネル型デバイス Surface Hub は専用のデバイス ファミリーとして OS が設計されています。

Surface Hub はオフィスの会議室に設置して遠隔地拠点メンバーとの会議やディスカッション時のホワイトボードとして利用することなどを目的としたデバイスです。ディスプレイサイズが HD 対応の 55 インチと 4K 対応の 84 インチの 2 モデルがあり、両モデルとも赤外線センサー、画像センサー、深度センサー、2 基の内蔵広角 HD カメラとマイクが搭載されています。日本でも今年の 7  月より受注を開始しています。

Surface Hub は複数人での同時利用を前提にしており、一人で利用することを前提にしている PC とは根本的に利用シナリオが異なっています。

例えば、会議終了時には Surface Hub 上のデータが消去される機能があるほか、タッチ、スタイラスペン、マイクが入力デバイスの前提とされています。また、Surface Hub 上で動作するアプリケーションは、全画面表示(フルスクリーン)、固定エリア内表示(フィル)、画面両端表示(スナップ)でのみ表示されるなどの Surface Hub 独自の仕様が多く搭載されています。

そのため、Surface Hub はデスクトップファミリーとは異なる独自のデバイスファミリーが作られているのです。

 

■ 今後デバイスファミリーに追加される予定のデバイス

HoloLens や Xbox も!

既に HoloLens や Xbox はWindows 10 対応になることが発表されています。

Microsoft HoloLens

現実世界にホログラムを投影・操作できる Windows 10 搭載マウントヘッドセットが「Microsoft HoloLens」です。HoloLens を装着すると、CAD で作成したバイクのカウルをホログラムで実際のバークのシャーシに投影したり、Minecraft のゲーム内で作成したフィールドを自宅の家具に投影したりといった拡張現実の世界を実現することができます。

HoloLens 1

HoloLens 2

NASA との共同プロジェクトで国際宇宙ステーションでの利用や、医学部での講義に使われているシナリオが動画として公開されるなど、世界中で大きな注目を集めています。

 

Xbox One

Xbox はゲーム用のコンソールとして考えられていますが、内部はシステム用、ゲーム用、アプリケーション用の 3 つの OS が動いています。このうちアプリケーション用の OS は現在 Windows 8 ベースで、Windows ストア経由でストア アプリがインストールできるようになっています。

Windows 10 アプリ用 OS

今後このアプリケーション用の OS が Windows 10 にアップデートされることが発表されています。Windows 10 にアップデートされると、Xbox One でも統一された Windows ストアから ユニバーサル Windows アプリケーションをインストールして利用できるようになります。

 

■ まとめ

Windows 10 そしてアプリがサポートするデバイスの可能性は無限

このようにWindows 10 はこれまでにないほどの数多くの対応デバイスが用意されています。そして、これはあくまでも出発点にしかすぎません。今後は Microsoft HoloLens をはじめ、さまざまな IoT 機器や新しいデバイスが Windows 10 対応されてきます。

Windows 10 では OS の統合により「ユニバーサル Windows アプリケーション」として開発されたアプリは、統合された Windowsストア経由し、これらのさまざまな Windows 10デバイスで動作します。1 つの OS、1 つの  Windows ストア、1 バイナリのアプリケーションであらゆるデバイスに対応、これが Windows 10 の特長です。

Windows10_UWA

アプリケーション開発の観点からも、今後の Windows 10 対応デバイスの動向にぜひ注目してください!

 

■ 参考情報

Windows 10 の各種エディションの紹介
A Developer’s Guide to Windows 10
Winodws 10 対応 主なPC
Windows 互換ハードウェア開発ボード
Microsoft HoloLens

 

■ 執筆

masakit

日本マイクロソフト株式会社 デベロッパーエバンジェリズム統括本部 テクニカル エバンジェリスト 武田 正樹