Windows 10 ではアプリが使われるのか


EvangelistEye_Shinobu Takahashi_Windows 10 ではアプリが使われるのか

いよいよ Windows 10 のリリースが始まり、Windows も新しい世代に突入した。これまでのWindows に近い部分と、全く違う部分を併せ持つ新しい Windows の登場は久しぶりに賑わいを見せている。

さて、アプリケーション開発者として、ここに乗るべきか考えるところではある。clip_image001_thumb[2]特に新しく登場した ユニバーサル Windows プラットフォーム アプリケーションは、Windows 8 で登場した Windows ストアを経由してアプリケーションを配布するもので、マルチデバイスにも広く対応していることを伝えている。とはいえ、すでに Windows 8 のストアのアプリについては、アプリが少ないことやなかなかダウンロード数が増えにくいといったことも聞かれる。

ではWindows 10になってどうなるかというと、少なくとも Windows 8 のころに比べてアプリのダウンロード数もユーザー数も増えていくことだろう。もちろん突然、劇的に増えるなんてことはないにせよ、確実にユーザーは増えていくだろう。それはこういう理由からである。

 

ユーザーが増える

Windows 8 のころに比べて、という意味である。Windows 10 は Windows 8に比べれば非常に多くのユーザーに使われるだろう。それは Windows 8 が Windows 7 以前のユーザーにとっては変化が大きすぎたためになかなか受け入れられなかったのに対して、Windows 10 は、特に Windows 7 のデスクトップでアプリを使っているユーザーにフォーカスしてそれに近い操作性に戻したからである。

clip_image003_thumb[3]だからこそ、マイクロソフトはこの2,3年以内に10億台のマシンのうえでWindows 10が動くと予測した。もちろん口述に出てくるがWindows 10が様々なデバイスで動くことも前提にはあるが、現在のPCユーザーのほとんどがWindows 10に移行する・移行できるという背景があるからこその予測であり目標なのだろう。

そこには Windows 10 は1年間アップデートが無料というのも大きな要因である。この1年に限っては Windows 7 や 8.1 からのアップデートが基本的に無料となる。いわゆるアーリーアダプターといわれる、新しい物好きな人たちはもうすでにアップデートをしていますが、そうでない人も周りのようすを見ながらこの1年の中でどこかでアップデートに踏み切ることになるだろう。いつか上げるなら無料期間の中で上げたいと思うだろうから。

Windows 10での必要ハードウェアスペックはWindows 7のころから変わっていない。機能は増えているものの、Windows はバージョンが上がるにつれて早く軽くなっている。少なくともWindows Vista 以降はその傾向にある。それ以前のWindows ユーザーの頭の中には、新しいOS=重いOS という印象が強く残っているかもしれないが、一度今のOSを体感してその部分は書き換える時に来ている。動かしてみれば これまでの Windows ユーザーが受け入れてくれることはわかるはずだ。変わっているのに変わっていない、それが Windows 10 だから。

 

ウィンドウで動く

clip_image004_thumb[3]Windows 10 では今まで使っていたデスクトップアプリもきちんと動く。当たり前だ。Windows なんだから。まぁ、この当たり前の互換性を貫くことがいかに難しいことなのかは最近のスマフォのバージョンアップを見てもらえばわかるだろう。

それはともかく、問題は Windows 8.1 で提供されている いわゆるモダンアプリもしくはストアアプリである。Windows 8.1を使っているユーザーでも、ストアからアプリをダウンロードしたり活用したりというのはあまりしていない、というユーザーは残念ながら結構いる。なぜならほとんどのWindows ユーザーは Windows をデスクトップで使っているからである。当たり前のようだが、ストアアプリはむしろタブレットを想定したような動きで、アプリは基本的にすべて全画面で動く。スマフォのアプリと同じである。デスクトップを使ってても起動したストアアプリが全画面に表示される。これはいただけない。仕事中にちょっとLine を起動したら、23インチの液晶モニター全体に巨大なLine アプリが表示されてしまう。

clip_image005_thumb[4]Windows 10 ではストアアプリは、ユニバーサル Windows プラットフォーム アプリとして提供される。Windows 10 専用のストアアプリだ。もちろん Windows 8.1 用に提供していたストアアプリも利用できる。そして Windows 10 では、ストアアプリであってもデスクトップアプリと同じように、ウィンドウで表示される。素晴らしい。画面の右上には Twitter のクライアントアプリを表示して、右下には Line のアプリを表示しながら、仕事をする。これが普通にできる。SNS用のアプリは ストアアプリでも充実し始めており、これがデスクトップで使えるのだから、多くのユーザーが使い始めるだろう。

Windows のユーザー数は多い。その多くのユーザーが Windows 10 にアップデートし、そこでストアアプリが普通に使われだしたら、それはとてつもなく大きな市場になる。Windows 8.1 でマイクロソフトが目指したモデルだったが、ようやく Windows 10 それを実現できそうな土壌が出来上がった。

パッと見は既存のデスクトップアプリと変わらない。多分そのうち、デスクトップ アプリだのストア アプリだのという区分は(少なくともユーザーから見て)なくなるだろう。どちらも同じデスクトップでウィンドウで動くアプリケーションなのだから。

 

デスクトップ対応の拡張

ストアのアプリケーションは(見た目は)デスクトップアプリと同じように動くが、たぶんそうやって使うようになると、必ずストアアプリに対する不満点が出てくるだろう。

それは何か?いろいろあるだろうが、一番大きいのはファイル連携、アプリケーション連携、もっとはっきり言ってしまえばコピペができるか?ドラッグ&ドロップができるか?という点である。Windows ユーザーは、例えばデスクトップにあるファイルをアプリにドラッグ&ドロップして開く、という操作を自然にしている人が多い。当たり前にできるだろうと思っている人も多いはず。これはアプリ側で実装しているから実現されている技術である。

そしてこの技術は、フルスクリーンで単一アプリを動作させるストアアプリには基本的に実装されていなかった。デスクトップと排他で起動されるストアアプリにはデスクトップやほかのアプリからファイルや情報がドラッグ&ドロップで渡されることがなかったから。(その代わりにアプリ間で情報を渡す共有という機能が出来ている)

Windows 10 のユニバーサル Windows プラットフォームアプリには、新しく?ドラッグ&ドロップで情報を受け渡しするための機能を実装できるようになった。もちろんこれから開発者が対応する必要があるが、多分この実装が当たり前になるだろうからますますデスクトップアプリと遜色なく使えるようになる。

 

PhoneとタブレットとPC, 更に

Windows 10 は初めてマルチデバイスに対応した Windows になった。これまでのWindows はノートやデスクトップのPCで動作していた。Windows 8.1ではタブレット上でも動くようになった。そして Windows 10 ではいわゆる Windows Phone でも Windows 10 が動作する。さらに最近はやっている Rasberry Pi のような IoTボードの一部でも動作したり、組み込み機器上でも Windows 10 は動作する。

clip_image006_thumb[2]

Android や iOS ではスマフォトタブレットで同じOSが動き同じアプリが動くことは当たり前だが、Windows 10もようやく同じ環境ができただけでなく、更にPCでも、組み込み機器でも、IoTボードでも同じOSが動き、同じアプリが動くようになる。多分1つのOSでここまで多岐にわたったデバイスに対応したOSは私は聞いたことがない。(しいて言えばLinuxがそうかもしれないが、単一OSといえるかというと難しいところがある)

対応するプラットフォームが多いことは、そのままアプリのユーザーが多いということにつながる。そして複数のプラットフォームに対応でき空こそのメリットも生まれる。ユーザーは移動中にはタブレット、机の前ではPC、リビングやカフェではタブレットを使っているかもしれない。そのすべてで同じアプリが動作するのである。どんな場面でもどんなデバイスでも作業を、やりたいことを継続できるのである。Windows 10ならそれが可能となっているので、Windows 10のアプリを作る方はそれができるようなアプリの実装を目指してほしい。それがより多くのユーザーの獲得につながる。

 

魅力的なデバイスが出るだろうから

今も Windows 10の対応デバイスが多いことを紹介したが、今だけでなくこれからも、続々魅力的なデバイスが出てくるだろう。魅力的なデバイスが出ればユーザーも増え、アプリの利用数も多くなっていく。

実は、今のAndroid タブレットとWindows タブレット(おそらく iPadもそうだと思うが)ほとんどハードウェア的な違い、設計の違いはない。Android のほうが対応しているCPU(SoC)が多いがそのくらいで、Intel の Atom を積んだタブレットのいくつかは、Android と Windows の Dual Boot を謳っているデバイスも存在する。こういったこともデバイスが出やすい要因になっている。

さらに、今後は新しいタイプのデバイスが出てくる。その一つが Surface Hub。大画面パネル型のデバイスである。電子黒板のような形で同じようなデバイスがこれまでもあったかもしれないが、Surface Hub はそのコンセプトから、ハードウェアとソフトウェアを併せて設計されたものである。利用シーンを想定した機能や操作性を考えて作られている。

Surface Hub

 

さらに、その先を行くのが HoloLens である。ホログラフィックコンピューティング、Argument Reality の中にユーザーインターフェースを構築する。新しい世代のデバイスであることは間違いないが、ここにも Windows 10が搭載される。いま作ったアプリはそのままHoloLens 通して、目の前の壁やテーブルの上でホログラフィックとして実行される。ユーザーが増えるかどうかはもう論議する問題ではなくなるだろう。

Hololens

 

企業用でも使いやすくなる

clip_image007_thumb[2]このポイントは非常に大事である。多くのユーザーはデスクトップを使っていると同時に、多くのユーザーは企業内でWindowを使っている。ここは大きな市場であり多くのユーザーがいることは間違いない。

企業で使っているユーザーにとっても、ストアアプリが全画面で動くことは、使えない大きな要因であることは間違いなかった。仕事中に一瞬でもTwitterアプリが全画面で起動して、上司に見られたら、何を言われるかわからない。もちろんこの状況は Windows 10 で解決されることは触れたが、ほかにも仮想デスクトップを使うことで画面を切り替えてアプリを起動できるのも業務でWindows を使っているユーザーには便利に使えるだろう。

そしてもう一つ。企業で特定の有償アプリをきちんと社員が利用できるようにしたいと思っても、従来であればそれぞれのユーザーが購入する以外に方法がなかったが、Windows 10 からは今後企業でまとめてライセンス購入をして社員が使えるような形態も利用できるようになる。

それだけではない。企業内専用のアプリについてもストアに公開しやすいようになる。今後は各企業のストアを利用できるようになる。社員が開けば社内で利用できる業務用のアプリや会社でライセンス購入したアプリがダウンロードできるポータルができるようになる。社員は業務利用のためのアプリをどこからでもアクセスしてストアからダウンロードすることが出来る。これからのワークスタイルが変わり、会社の建物の中だけでなく、会社の外、客先から、あるいは自宅で働くような場面になっても、柔軟に対応できるようになる。

 

ようやくストアの目指す形を実現できるOS

沢山の技術や仕組み、状況によって、多分間違いなく Windows 10でのユニバーサル Windows プラットフォーム アプリのユーザーは Windows 8 のストアに比べて格段に増えるだろう。ただそれは、何となく新しいOSに合わせて突然降ってきたものではなく、これまでの Windows 8.1での失敗やユーザーからの声を集め、それを吟味しこれからのOSとストア、アプリはどのようにあるべきか検討したうえでようやくできたものである。

clip_image002_thumb[2]

Windows 10 はリリースされたこれからも、Insider Preview を継続して行う。常にユーザーからの声を集め、自分たちの持つ知識と経験を併せて、最新のOSを作り続ける。そしてこれまでのように数年に一度のバージョンアップで提供するのではなく、いわばサービスとして Windows 自身を常にアップデートしていく、この2つの姿勢がこれからアプリケーションのユーザーを増やしていける一番の理由であると思う。

もしまだ、Windows のストアに対応したアプリを作っていない、検討しているという方がいたら、ぜひ Windows 10 でのアプリリリースをお勧めしたい。

 

参考情報

Windows 10
Windows ストア
Windows Insider プログラム
Windows 10 のダウンロード
Windows デベロッパーセンター

 

執筆

shinobu

日本マイクロソフト株式会社
デベロッパー
エバンジェリズム統括本部

プラットフォームエバンジェリスト
高橋
http://blogs.msdn.com/b/shintak

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