Windows API Code Packによるアプリ開発 第16回 Windows 7 タスクバー ~ジャンプリストについて知っておくべきこと~

Windows API Code Packによるアプリ開発 [TechED2010 ポストセッション]
第16回 Windows 7 タスクバー ~ジャンプリストについて知っておくべきこと~

TechEd 2010のポストセッション企画として実施していた本連載も、いよいよ最後のネタであるジャンプリストの記事になりました。

[ ジャンプリスト概要 ]
Windows 7から、タスクバーにジャンプリストという機能が追加されました。
タスクバーのアイコンの上で右クリックをすると、以下のような画面が表示されます。
これがジャンプリストです。

左は、エクスプローラーのアイコン上で右クリックした例です。
右は、Outlook 2010のアイコン上で右クリックした例です。

ジャンプリストを使うと、最近使用したファイルを簡単に開くことができたり、特定の機能を呼び出したりすることができます。
左側のエクスプローラーのジャンプリストには、[よく使うもの]の一覧が表示され、右側のOutlookのジャンプリストには、[タスク]という特定の機能を呼び出すリストが表示されています。
このように、アプリケーションによって表示させる内容を変えることができます。

[ ジャンプリストに表示できる内容 ]
ジャンプリストには、以下のものを表示させることができます。
- 最近使ったもの
- よく使うもの
- いつも表示
- JumpPath (アプリケーション側で設定できる特定のパスへのリンク)
- JumpTask (アプリケーション側で設定できる特定のタスクの呼び出し)

この中で、「最近使ったもの」と「よく使うもの」については、アプリケーション側で表示/非表示を制御できます。
これらの2つに表示される内容は、OS側で設定します。表示されている内容を、ユーザーが削除することもできます。
「いつも表示」は、アプリケーションを使用しているユーザーが指定します。
JumpPathとJumpTaskについては、アプリケーション側で実装する必要があります。
JumpPathにはパスを含むファイル名を指定し、JumpTaskには実行可能形式のファイル(.exeファイル)を指定します。
Outlookのジャンプリストのように、アプリケーションが持ついくつかの機能を呼び出すような場合は、コマンドラインオプションを指定してアプリケーションを起動させます。

[ タスクバーのジャンプリストと、スタートメニューのジャンプリスト ]
ジャンプリストに設定したJumpPathやJumpTaskの情報は、スタートメニューのジャンプリストでも表示されます。
スタートメニューのジャンプリストは、下図のようにスタートメニューを開いて、目的のアプリケーションの上にマウスカーソルを移動させ、しばらく待っていると右側に表示されます。

スタートメニューのジャンプリストとタスクバーのジャンプリストは、同じ情報を元に作成されます。
タスクバーに表示されていないアプリケーションでも、スタートメニューに表示されていれば、そのアプリケーションが持っているジャンプリストを使うことができます。

最終回は、ジャンプリストの実装について説明します。

[ 参考資料]
TechEDでのビデオとスライド
https://msdn.microsoft.com/ja-jp/events/ff973814.aspx
内容を早く知りたい方や、デモを確認されたい方は、ビデオをご覧ください。

[Windows API Code Packのダウンロード]
https://code.msdn.microsoft.com/WindowsAPICodePack
このページの右上にある、「Current Release」と書かれた部分のすぐ下にあるリンクをクリックすると、ダウンロードページに飛びます。

[Windows API Code PackによるWindowsアプリ開発/ TechEDポストセッション]
第1回 : Windows API Code Packとは
第2回 : アプリケーションの再起動と修復その1
第3回 : アプリケーションの再起動と修復その2
第4回 : 電源の状況の把握
第5回 : Windows 7 タスクバー ~アイコンオーバーレイ~
第6回 : Windows 7 タスクバー ~進行状況バー ( プログレス バー )
第7回 : Windows 7 タスクバー ~サムネイル ツールバー その1
第8回 : Windows 7 タスクバー ~サムネイル ツールバー その2
第9回 : Windows 7 タスクバー ~サムネイルについて知っておくべきこと~
第10回 : Windows 7 タスクバー ~アプリケーション ユーザー モデル ID (AppID)
第11回 : Windows 7 タスクバー ~タブに対応したサムネイル~
第12回 : Windows 7 タスクバー ~タブ サムネイルの実装~
第13回 : Windows 7 タスクバー ~タブ サムネイルのイベント処理~
第14回 : Windows 7 タスクバー ~画面の一部だけをサムネイルする~
第15回 : Windows 7 タスクバー ~見られたら困るサムネイル~
第16回 : Windows 7 タスクバー ~ジャンプリストについて知っておくべきこと~
第17回(最終回) : Windows 7 タスクバー ~ジャンプリストの実装~

番外編 : Windowsフォームアプリによる電源の状況の把握
番外編1 : アプリをクラッシュさせるには
番外編2 : シューティングゲームにタスクバーの機能を追加
Windows API Code Packの連載のあとは、Windows Live Essentialsに含まれるフォトギャラリーとムービーメーカーのプラグインについての連載を始めます。

マイクロソフト
田中達彦