TFSの極意 Vol. 14 | TFS 2010 に Visual Studio 200x から接続するための更新プログラムと Visual Studio 2010 との差異について

Team Foundation Server (以下、TFS) 2010 には、Visual Studio 2010 だけではなく、Visual Studio 2005、Visual Studio 2008 からも接続することができます。ただし、そのためには、更新プログラムを適用する必要があります。
※正確には、VS 200x というより、Team Explorer 200x です。

Team Foundation Server 2010 (インストーラー) 用の Visual Studio Team System 200x Service Pack 1 上位互換性更新プログラム という、どう考えても覚えられそうもない名前ですが、重要ですので、ぜひぜひ覚えてください(名前ではなく、存在を)。

注意点ですが、かならず、Service Pack 1 をインストール済みであることを確認ください。システム要件にしたがってくださいということです。

ここからは、Visual Studio 2008 での適用を見ていきましょう:

image インストーラーを起動です。
image いうまでもなく
image あとは、待つだけです(1分くらい)
image 終わりです。

では、Visual Studio 2008 から Team Foundation Server 2010 へアクセスしましょう。

「Team Foundation Server の追加」のダイアログに注目です。

image

今までならば、この「Team Foundation Server 名」に TFS サーバーのホスト名または、IP アドレスを指定すればよかったわけですが、TFS 2010 からは、TFS サーバーの URL が仕様変更されています。

  • TFS 200x: https://<TFS host name>:8080
  • TFS 2010: https://<TFS host name>:8080/tfs/<Project Collection Name>

となります。

では、この TFS 名をどうするかというと、ここに TFS サーバーの URL を入力します。「https://」と入力すると、ポート番号、プロトコルがグレイアウトされるのがわかると思います。

image

ここでは、プロジェクト コレクション名までを指定しても構いません。追加されると、以下のようになります。

image

では、次に大事なことを。Visual Studio 200x から TFS 2010 にアクセスすることはできますが、TFS 2010 で追加、強化された機能にフルパワーでアクセスできるわけではありません。代表的なところでは、作業項目管理のフォルダー階層と、作業項目の階層構造タイプのクエリには対応していません。これらにアクセスすると以下のようになります。

Visual Studio 2010 からのアクセス Visual Studio 2008 からのアクセス
無題 無題2
無題3 実行できない

フォルダー階層は、クエリ名を工夫することで、ある程度ケアをしてくれているのがわかります。階層クエリは、実行することができません。

次に、ソース管理についてですが、TFS 2010 では、ソースコード(バージョン管理、構成管理)の可視化がかなり進化しています。しかし、Visual Studio 200x からはこれらにアクセスすることができません。Visual Studio 2010からならば、以下のものにアクセスできます。

無題4 ブランチ構造の可視化です。これで、派生開発などを行った際の情報を把握しやすくなります。そして、ここからマージをドラッグ&ドロップで実施することもできます。
無題5 こちらは、作業項目のクエリから、ボタン一発クリックで表示できる作業項目のトラッキングの可視化です。 タスクやバグがどのブランチまで反映できているのか、反映し忘れたものはないのか、事実を把握することができます。 もちろん!ここからマージもドラッグ&ドロップでできてしまいます。しかも、そこまでの一連の変更を丸ごとマージすることも、この作業項目で変更された内容だけをマージすることもできます。 (どちらの場合も、開発者自身によるマージの確認と、テストの実施を強くお勧めします)
無題6 上記によく似ているように見えますが、こちらは、「変更セット」のトラッキングの可視化です。こちらはソース管理エクスプローラーから「履歴の表示」「変更セットのトラッキング」でアクセスできます。ソースの情報を起点に、どこまで変更が反映できているのか、上記と同様に把握することができます。 通常、バグやタスクと、この変更セットは関連付けられているので、開発者は、ソースから追跡し、プロジェクト管理者やテスト担当者は、タスクやバグから追跡するということが容易にできてしまいます。

最後に、ビルド管理について触れておきましょう。TFS 2010 では、ビルド定義がかなり強化され、WF 4.0 ベースに生まれ変わっています。したがって、MSBuild のプロジェクト ファイル(TFSBuild.proj)を使用しません。これにより、Visual Studio 200x からはビルドの定義を編集することができなくなっています。ご注意ください。

ながさわ