XPのエンベデッド版とはなんなのか?

マイクロソフトの技術サポート担当をしているのですが、まずお客様か技術的なお問い合わせを受けた場合、お問い合わせ対象の製品が何なのかを確認します。

その中でちょっと悩むのが、このタイトルの「XP のエンベデッド版で…」とか「エンベデッドの XPを使っていて…」と言われた場合の対処です。

 

ではこの場合このお客様の製品は何なのでしょうか?

基本的には2つの答えが考えられます。

 

① Windows XP Embedded

② Windows XP Professional for Embedded Systems

 

そして今までの経験上、結果的に①の場合、②の場合それぞれほぼ半々です。

という事でここできちんと整理しておきましょう。

 

① Windows XP Embedded は、いわゆる通常の Windows XP とは違い、必要なモジュールだけで構成されたサイズの小さい(OSフットプリントが小さい)、カスタム構成された Windows XP です。

イメージ的には独自に CD-ROMブート可能な Windows PE イメージを開発したり、独自Linuxディストリビューションを開発するのと同じく、独自のモジュール構成でビルドしたOSが Windows XP Embedded です。

但し、Linuxのようにソースコードからビルドする事はなくて、あくまで必要なバイナリモジュールとレジストリ構成等を集めてひとまとめにする行為をビルドと称しています。

OS起動時のロゴや、起動後に「システム情報」を見ると Windows XP Embedded と表記されているので、それらにより確認する事が可能です。

 

② Windows XP Professional for Embedded Systems

こちらはエンベデッドシステム向けにライセンスされているだけで、通常の Windows XP Professional と何も変わりません。

エンベデッドシステム向けにライセンスされている=特定業務向けに利用する事を前提として、供給期間を15年と長く設定していたり特別なライセンス料金設定されているものですが、サポートライフサイクルに関しては、通常の Windows XP Professional と全く同じで 2014年 4月にサポート終了します。

これは技術的には Windows XP Professional と何ら変わらないためです。

外見上は Windows XP Professional と Windows XP Professional for Embedded Systems を区別する方法がありません。

もともと Windows XP Professional for Embedded Systems をマイクロソフトから購入してマシンにインストールしているベンダーは、Windows XP Professional for Embedded Systems だと契約上認識していますが、単にそれを使っているユーザーは Windows XP Professional と区別がつきません。

ちなみにマイクロソフトの技術サポート部門でも見分けがつきません。技術的には全く同一製品なので、エンベデッドOSとは言え、通常の Windows XP と同じサポート期間となるので注意してください。

 

Windows XP Professional for Embedded Systems は Windows XP Professional と同じサポート期限ですので、2014年 4月 9日(日本時間)でサポート終了します。

 

**

ここで、最近(Windows XP サポート終了が間近に迫っている事に伴い)よくあるお問い合わせのやりとりをご紹介します。

 

質問

「Windows XP Professional だと2014年 4月でサポート切れるので、2016年までサポートがある Windows XP Embedded にアップグレードする方法はありますか?」

 

回答

「方法ありません。技術的に不可能です。」

 

質問

「今から Windows XP Embedded を購入してハードディスクをフォーマットしてインストール(新規インストール)する事はできますか?その場合 Windwows XP Embedded はどこから入手すればいいですか?」

 

回答

「Windows XP Embedded はすぐにインストールできる形態で存在しません。MSDN サブスクライバ―ダウンロードから Windows XP Embeddded をダウンロードすると、独自 XP Embedded OSを構成するツールをインストールできるようになりますので、それから独自OSイメージを開発する必要があります。

評価用途ではなく、業務利用する場合には、すでに Windows XP Embedded を提供できるライセンスを持っているOEM様から供給を受けるか、自社が Windows XP Embeddeed を提供するためのライセンス契約をマイクロソフトと締結する必要があり、すぐに Windwows XP Embedded を業務で利用する事はできません。」