Part 1. Windows 10 の導入と WaaS モデルへの対応


[Windows 10 の現状]

Windows 10 は 2015/07/29 にリリースされていますが、この blog を書いている 2016 年 8 月時点では、特にエンタープライズ系企業での導入はまだ十分に進んでいるとは言えません。大きな背景としては、日本の大企業ではハードウェアの老朽更新に併せて OS 入れ替えを行うことが多いこと、ハードウェアの買い替えサイクルが諸外国より長いことがあるのですが、とはいえ、以下のようないくつかの要因から、昨今、次期端末の購入・導入計画に併せて Windows 10 の導入計画を進めているお客様が非常に増えてきています。

  • Windows 10 のリリースから約 1 年間が経過している(のでそろそろ安定しているだろうw)
  • 昨今のセキュリティ脅威に対する安全性を高めるために OS を最新化したい
  • 多彩な Windows 10 デバイスとモバイルワークスタイルで、社員の生産性を高めたい

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今年から来年にかけて多くの企業で Windows 10 の導入が進むことを願っているのですが、注意すべき点として、Windows 10 の導入は、単に OS を入れ替えればよい、というものではありません。必ず WaaS (Windows as a Service)モデルへの適応方法を検討しておく必要があります。

[WaaS とは何か]

WaaS(Windows as a Service)とは、OS のアップデートに関して、従来のような「数年に一度の大型アップデート」というモデルをやめ、「より頻繁に、小さな改善を積み重ねていく」というモデルに変え、オンラインでいち早く皆様に提供していこう、というものです。実際、Windows 10 は 2015/07/29 の提供後、すでに 2 回の機能アップグレードを行っており(November Update 及び Anniversary Update)、アップグレードの提供頻度が従来と大きく変わっていることがわかります。

この WaaS というモデルを Windows OS に導入した理由・背景はいくつかあります。代表的なものは以下の 3 つです。

  • IT のコンシューマ化
    • 昨今、我々は iPhone, iPad, Android (もちろん Windows Mobile も!)をはじめとするスマートデバイスを多用しています。こうしたスマートデバイスの世界では、OS を最新化して使うことは常識と化しています。
    • 例えば iOS の場合、OS シェアが開発者向けページに掲載されていますが、ほとんどのデバイスが最新 OS を使っていることがわかります。これは、会社に戻ると依然として 2 世代前の Windows 7 を使っている……という Windows PC の世界とは全く違う世界ですが、今のスマホネイティブ世代にとっては、PC の世界はいかにもレガシーです。
  • セキュリティ脅威の進化
    • 詳細は次のパートで解説しますが、近年は民間企業を対象にしたサイバー攻撃が激化しており、その攻撃手法の進化はすさまじいものがあります。こうした攻撃手法の進化に追随するためには最新の対策が必要であり、そのためには必然的に OS の最新化が必要になります。
    • この話を聞くと、「古い OS でもセキュリティパッチを全部当てればいいんでしょ?」と単純に考える方も少なからずいますが、セキュリティパッチというのはその名の通り、脆弱性の穴を塞ぐためのものです。抜本的に、仕組みレベルからの安全性の強化を行うためには、どうしても OS やハードウェアの最新化が必要になります。
  • テクノロジーの進化
    • ご存じのように、昨今のハードウェア技術とソフトウェア技術はどんどん進化しており、利用者の生産性を高める最新技術が次々と出てきています。
    • こうしたものを貪欲に取り込んでいかないと、新しいサービスをお客様に提供していくことは困難です。

こうした時代背景を元に、Windows 10 では、新しい機能(機能追加や機能強化)を、いち早く、オンラインでのアップデートとしてこまめに提供していくこととなった、というのが WaaS(Windows as a Service)です。

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[Windows 10 導入時に考えるべきこと]

このことからわかるように、Windows 10 への移行というのは、言い換えれば、継続的に最新化されていく IT インフラへの移行である、ということができます。このため、従来とは異なる考え方やアプローチが必要になる部分も多々出てきます。そのために何を理解し、何を考えていけばよいのか? を整理すると、以下のようになります。

  • Part 2. 代表的な Windows 10 導入の目的
    • Windows 10 の導入を始めるにあたって、どのようなメリットを得るのかを予め検討しておく必要があります。
    • これを決めておかないと、そもそも Windows 10 導入の予算が取れなかったり、Windows 10 導入時にどこを重点的に検討すべきなのかが決められません。
  • Part 3. WaaS の正しい理解
    • 「継続的に最新化される」といっても、どのような形でどんなアップグレードやアップデートがどのような頻度で降ってくるのか、を理解しておく必要があります。
    • この際、機能アップグレードの受け取り方の選択肢(IP/CB/CBB/LTSB)とその使い分けが極めて重要になるため、これを理解します。
  • Part 4. Windows 10 導入時の検討の流れ
    • Windows 10 の導入では、アプリ/インフラの両面での検討が必要になり、またすぐに対応できること/できないことが出てきます。
    • これらをどのように組み立てて導入検討を進めるべきなのかを理解します。
  • Part 5. Windows 10 導入時に考え方・やり方を変えるべきポイント – アプリ編
    • アプリ面では、「半年に一度の互換性検証」をどのように効率的にやるかを考えなければなりません。
    • このための基本的な考え方である、① テストケース絞り込み、② 段階展開によるリスクヘッジ、を理解します。
  • Part 6. Windows 10 導入時に考え方・やり方を変えるべきポイント – インフラ編
    • インフラ面では、過去の「負の遺産」ともいうべき旧態依然としたやり方を見直すことが重要です。(パラメータシートとか;)
    • Windows 10 導入時に、従来と特に考え方が変わるポイントを理解します。
  • Part 7. Windows OS の変更ログの入手方法
    • アプリ/インフラどちらに関しても、OS 更新時に「何が変わったのか?」を把握することが必要になります。
    • この情報の入手方法を理解します。

なお、皆様が IT Pro なのか Dev なのかによって、興味のあるパートが異なると思いますが、どちらであっても、可能な限りすべてのパートにざっと目を通してください。というのも、Windows 10 WaaS では、インフラとアプリが互いに影響を及ぼしうる部分があるため、互いのことを知らないと正しいアプローチができないからです。細かく理解しなくても構いませんので、とにかくざっと要点だけつかむようにしていただくことをオススメします。

(以下は余談です)

実は上記のポイントは、結構マイクロソフトの社内でも問題になっている部分ではあったりします。というのも、例えば Windows OS の展開支援はインフラ系コンサルのみで行うのがかつての常識だったのですが、Windows 10 の WaaS に関しては継続的なアプリ互換性検証が問題になるため、私のようなアプリ系のコンサルが関わらなければならないケースというのが増えているのです。要点さえ理解できれば実は全く難しくないのですが、IT Pro であってもある程度はアプリのことを知らなければならないし、 Dev であってもある程度は WaaS のことを知らなければ、これからの時代は通用しなくなってくる、ということだと思います。ぜひ一連のエントリを読んでいただいて、最低限知っておくべき知識を身に着けていただければと思います。


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