Microsoft Edge Japan

Microsoft Edge と Internet Explorer に関する情報をお届けします。

アクセシビリティ: Microsoft Edge と Windows 10 でさらに多くの人が Web を利用できるように

今週はマイクロソフト米国本社の Edge 開発チームのブログから、Edge の技術的ロードマップに関する記事をピックアップし翻訳したものをお送りします。

公開される順番は、より情報量が多いものからとさせていただきますので、時系列順ではありませんのでご了承くださいませ。

この記事はマイクロソフト米国本社の Edge 開発チームのブログ Microsoft Edge Dev blog の記事、「Accessibility: Towards a more inclusive web with Microsoft Edge and Windows 10」 (2015/9/25) の記事の抄訳です。

 

アクセシビリティ: Microsoft Edge と Windows 10 でさらに多くの人が Web を利用できるように

Microsoft は、ソフトウェア設計の柱の 1 つとして、アクセシビリティに真剣に取り組んでいます。この記事では、Microsoft Edge ではどのように支援技術のサポートが強化され、Internet Explorer 以上の機能を実現しているかについて詳しく説明します。

インクルーシブな開発は、単なる目的地ではなく、旅そのものです。Microsoft では、Windows でアクセシブルなブラウジングができる最も便利なソフトウェアになるよう、Microsoft Edge を継続的に強化していきます。Microsoft Edge のアーキテクチャの変更作業は、大きく前進しました。短期的に見ると Internet Explorer と比べて後退したエクスペリエンスもありますが、これは長期的な観点から、どなたにもお使いいただける、よりインクルーシブなエクスペリエンスを考えたうえでの措置です。この記事では、よりアクセシブルな Web エクスペリエンスを目指す Microsoft の旅について概要をお伝えします。また、現在 Microsoft Edge に実装されている変更や、サードパーティの支援技術ソフトウェアをお使いの Windows 10 ユーザーの方への推奨事項も記載しました。

よりアクセシブルな Web エクスペリエンスを目指して

Windows 98 以来、Windows では、ボタン、メニュー、テキストなどの画面上の内容を支援技術に対して表現するために、Microsoft Active Accessibility (MSAA) API を利用してきました。支援技術ベンターは、MSAA API を (IE の DOM、Office の Office オブジェクト モデル、さらにはスクレイピング ビデオ ドライバーなど、アプリ固有の API と組み合わせて) 使って、テキストやインターフェイスのアクセシビリティを向上してきました。このような手法ではアプリケーションやドキュメントによってアクセシビリティに大きな差があるという欠点があり、不統一で信頼性の低いエクスペリエンスにつながっています。ユーザーインターフェイス、ドキュメント、Web は、格段に複雑になりました。そこで Microsoft は、よりモダンな UI オートメーション (UIA) API を MSAA の後継として Windows Vista において導入しました。

UIA は、ユーザー インターフェイスと構造化ドキュメントについてより多くの情報を公開すること、パフォーマンスを向上すること、プラットフォーム間での移植を可能にすることを目的に設計されました。UIA では、信頼性が低く相互運用できない可能性がある多数の手法をたった 1 つの API に置き換えたことで、ソフトウェアの複雑さが軽減し、開発者は斬新な UI のコンセプトを表現しやすくなりました。また、あらゆる種類の支援技術において、安定性と、Web およびネイティブ アプリ間のユーザー エクスペリエンスの一貫性が向上しました。

2005 年に MSAA は UIA に置き換えられましたが、Internet Explorer は、MSAA と UIA 間の変換を行う “ブリッジ” を使って、引き続き MSAA に依存していました。このブリッジへの依存が、Internet Explorer のバグやパフォーマンスの問題を引き起こしていたため、ネイティブの UIA 実装に移行することは、ブラウザー チームにとって長年の悲願でした。

Microsoft Edge でのアクセシビリティの投資

Microsoft Edge では、開発の一環として DOM 実装を設計し直し、ブラウザーのインターフェイスをゼロから書き直すという、非常に大がかりな投資を行っていますが、それに伴い、遂に MSAA から UIA に移行するチャンスが訪れました。この UIA への移行は、Microsoft ブラウザーのアクセシビリティ史上、最大の投資です。これは、支援技術を利用して Windows 10 をお使いの方にとって、今よりもインクルーシブな Web エクスペリエンスを提供する基盤になります。(ユニバーサル Windows アプリや Cortana など) Windows 10 全体で EdgeHTML が使用されているため、UIA への移行から得られるメリットは、ブラウザー以外にも波及します。EdgeHTML エンジンのエバーグリーンな (常に最新版が提供されるという) 特徴も、メリットになるでしょう。

現在、Windows 10 に組み込まれているナレーターを使うと、さまざまな機能強化を実際に体感していただけます。Microsoft では、近い将来の移行に向けてサードパーティの支援技術プロバイダーとの連携を進めつつ、ナレーターを使って UIA を詳しく調べています。たとえば、MSAA では基本的な UI コンストラクトしかサポートしていませんでしたが、ナレーターは Microsoft Edge の UIA と連携し、より複雑な役割、状態、プロパティを表現し、構造化ドキュメントや対話型ドキュメントを以前よりも詳しく表現できます。

 

Microsoft Edge でナレーターを使うと、次のような一連の新しいアクセシビリティ機能が公開されます。

  • ARIA の役割 (role): none、article、definition、log、math、note、scrollbar、application、banner、complementary、contentinfo、form、main、navigation、search
  • ARIA のプロパティ (property): aria-atomic、aria-autocomplete、aria-dropeffect、aria-grabbed、aria-label、aria-multiline、aria-orientation、aria-sort、aria-valuetext
  • HTML の見出し (<h1> ~ <h6>) は role と property により公開
  • 不確定の HTML チェック ボックス
  • ナレーターによる表およびリストの読み上げの向上
  • HTML5 form 要素への UIA の実装

Microsoft Edge チームは、これからも W3C や他のブラウザー ベンダーとの連携を維持し、新しい Web プラットフォーム機能に十分なアクセシビリティが組み込まれるようにします。たとえば、Internet Explorer は、動画のクローズド キャプションを可能にする <track> 要素と WebVTT キャプション形式を真っ先にサポートしたブラウザーの 1 つです。Windows 10 で提供した機能は、EdgeHTML をエバーグリーンなプラットフォームにする取り組みの一環として、今後さらに短いサイクルで機能をリリースするための基盤になります。

“合格ライン” を目指して: Microsoft Edge のバックログ

Microsoft Edge が、完全にアクセシブルなブラウジング エクスペリエンスを実現できるレベルに到達していないことは認識しています。新しいブラウザーの構築には、アクセシビリティも含め、製品のあらゆるレベルで新しいユーザーエクスペリエンス関連の作業が必要でした。Windows Insider に参加されている皆様や、アクセシビリティ コミュニティの方々から貴重なフィードバックをいただきました。私たちはそれを参考に、Microsoft Edge に表示されるブラウザーのコントロールや Web 自体のアクセシビリティの機能強化の優先順位を決めています。次のような機能強化を今後数か月にわたって漸次提供する予定です。

  • アドレス バー、設定、お気に入り、履歴、ダウンロードなど、主要な UI 要素のキーボードやナレーターによる操作の向上。
  • リンクや画像に指定された代替テキストを含め、段落、リンク、画像にセマンティックにタグ付けされた PDF のサポート。PDF 関連の機能強化には、ドキュメント内のリンクのキーボード操作の強化も含まれます。
  • Flash のアクセシビリティの向上。
  • ARIA と HTML の UIA へのマッピングの向上

私たちは、長期的な投資にも取り組んでいます。以下は、バックログの中でも優先順位の高い項目です。

また、アクセシビリティ API テストを自動化するため、WebDriver のサポートも実現できるよう取り組んでいます。

以上のリストは手始めにすぎません。引き続き Microsoft Edge への投資を行い、個のブログとプラットフォームの状態ページで開発ロードマップをお知らせします。開発ロードマップは、上記の優先事項に沿って、更新していきます。ぜひ、優先事項についてのフィードバックをお寄せください (英語)。バックログの優先順位を適切に設定できるよう、頂いたご意見を参考にさせていただきます。

Windows 10 で支援技術をお使いの方への推奨事項

サード パーティのスクリーン リーダーを利用している支援技術ユーザーは大勢いるため、最もよく使用されているサードパーティの支援技術ベンターと緊密に連携して、Internet Explorer では実現できなかった、より優れたユーザー エクスペリエンスを提供できる UIA への移行をサポートしています。Microsoft では、MSAA や IAccessible2 など、他の API との未解決のギャップを埋められるよう UIA の変更を行っているので、その際の対話も弊社にとって貴重なフィードバック源となっています。

サード パーティの支援技術をご利用の方は、Microsoft アクセシビリティ ブログの Rob Sinclair の記事「スクリーン リーダーと拡大鏡をご利用の方への Windows 10 へのアップグレードの注意事項」(英語) をご覧ください。

一部のサード パーティの支援技術は、まだ Microsoft Edge に完全に対応していない可能性があります。そのようなツールをお使いの場合は、メーカーが移行を完了するまで、当面は最もアクセシブルなブラウジングエクスペリエンスが得られるブラウザーとして Internet Explorer をご利用ください。引き続き支援技術プロバイダーと連携し、Windows 10 の UIA を強化するに従い、Microsoft Edge と Internet Explorer とのギャップは解消されるでしょう。また、今後数か月で、サード パーティの支援技術でもナレーターと同程度の UIA のサポートが見られるようになると考えています。

Windows 10 での支援技術の使用に問題がある場合は、Microsoft Disability Answer Desk (英語) までお問い合わせいただくか、お使いの支援技術のメーカーに Windows 10 と Microsoft Edge のサポートについて詳細をお問い合わせください。

Windows 10 のアクセシビリティを継続して強化するには、皆様からのフィードバックが非常に重要です。ぜひ、Windows Insider Program への参加をご検討ください。ご使用になった感想やご意見をお聞かせいただけると幸いです。

– Microsoft Developer Platform、シニア プログラム マネージャー、Cynthia C. Shelly