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2016 年の展望: Microsoft Edge の開発者向け情報

これから数回に分けて、マイクロソフト米国本社の Edge 開発チームのブログから、Edge の技術的ロードマップに関する記事をピックアップし翻訳したものをお送りします。

公開される順番は、より情報量が多いものからとさせていただきますので、時系列順ではありませんのでご了承くださいませ。

2016 年の展望: Microsoft Edge の開発者向け情報

この記事はマイクロソフト米国本社の Edge 開発チームのブログ Microsoft Edge Dev blog の記事、「Looking ahead: Microsoft Edge for developers in 2016」 (2016/2/3) の記事の抄訳です。

 

前回の「2015 年を振り返って: Microsoft Edge の開発者向け情報」 (英語) の記事では、Windows 10 と Microsoft Edge で提供する機能について、2015 年の開発のガイドラインとした優先目標と、その達成度を測る手段のいくつかをご紹介しました。今日は、2016 年の EdgeHTML が目指している目標についてお伝えしたいと思います。

EdgeHTML の 2016 年の優先課題

Microsoft では、皆さまからのフィードバックを精読し、開発トレンドを考察するとともに世界中のパートナー様や開発者様にお会いして EdgeHTML の次の目標についてお話ししています。最も影響の大きい開発作業に確実に注力したいと考えているからです。

継続的な情報公開の精神に則り、ここでは 2016 年の優先課題をご紹介します。

  1. Web テクノロジと Windows ストアによるモダン拡張機能プラットフォームを提供する
  2. アクセシビリティとインクルーシブ デザインにより Microsoft Edge を使うすべての人の力になる
  3. Microsoft Edge の基本であるセキュリティ、パフォーマンス、効率を引き続き向上させる
  4. Web の未来を見据えて開発する
  5. コミュニティのフィードバックや参加を可能にするチャネルを増やす

これから 1 年、上記の 5 つの優先課題に基づき、製品フォーカスや標準化団体との関わりを進めていくことになります。各優先課題が Microsoft にとって何を意味するのか、また、それぞれの分野で現在 “開発中” (In Development) である一部の初期機能について簡単に説明しましょう。

 

拡張機能

信頼性とセキュリティが問題になることが多い従来のネイティブ アドオンに替わる、Microsoft Edge 用の新しい拡張機能プラットフォームを提供する計画を昨年発表しました。拡張機能は、最も要望が高かった Microsoft Edge の機能の 1 つです。現在、Microsoftでは Web テクノロジを活用し、開発者になじみのある拡張機能プラットフォームを作成しています。ブラウザーの機能拡張は悪意のあるソフトウェアの侵入経路になる可能性があるため、Microsoft Edge の拡張機能は Windows ストアを利用して入念に審査、提供、管理されます。

現在実装中で、間もなく初期のサンプルを Windows Insider Program を通じて公開できるものと思います。カスタムの拡張機能の開発と公開については、後日また改めて詳しい情報をお知らせします

 

アクセシビリティ

Microsoft ではこれまでたびたび、”特に何もしなくてもすべてが Web を問題なく使用できるべきだ” というモットーを掲げて、相互運用性に真剣に取り組む姿勢を表明してきました。この “すべて” には、すべてのブラウザーやすべてのデバイスだけでなく、すべての人も含まれます。当然、障碍の有無を問いません。これが、2016 年の Microsoft 全社の最優先課題です。

「… 2016 年を迎えるにあたって真っ先に考えたのは、世界で 10 億人以上いる障碍者の方々が Microsoft 製品を使えるようにするにはどうすべきかということです。」

— サティアナデラ (Satya Nadella)

昨年の 9 月に、「アクセシビリティ: Microsoft Edge と Windows 10 でさらに多くの人が Web を利用できるように」という記事で、Microsoft Edge の一般的な支援技術のサポート状況を簡単に説明し、このサポートを向上するためのロードマップを紹介しました。2016 年は、かつてないほどのリソースをこの取り組みに投じていて、Windows に組み込みのナレーターを使っても、サード パーティの支援テクノロジを使っても、Microsoft Edge で最上級のバリアフリーな Web ブラウズ エクスペリエンスを提供すべく取り組んでいます。

2016 年は、まず、最も影響力が大きく、その後の機能強化の基礎になると考えるいくつかの主要分野に注力します。以下の目標に重点を置いた大がかりな機能強化の開発を始めました。

  • Windows 10 において HTML5 と CSS3 をサポートするようアクセシビリティ システムをモダナイズする。
  • HTML Accessibility API Mappings (英語) と Core Accessibility API Mappings (英語) に対応する。
  • アクセシブルな名前と記述 (英語) の処理および API マッピングを提供する。
  • アクセシブルな HTML5 コントロールと新しいセマンティック要素を追加する。
  • ハイ コントラストのサポートを強化する。
  • カーソル ブラウズと新しい入力モダリティをモダナイズする。
  • 視覚障碍のある方にとっての読みやすさや、フォーカスおよび選択の操作性を向上する。
  • アクセシブルなサイトを構築およびテストするための開発者ツールを提供する。

また、Microsoft では、Web Speech API (英語) やスクリプト ベースのアクセシビリティなど、長期的な投資についても調査しています。アクセシビリティ関連の機能強化については、アクセシビリティについての投稿でまた詳しくお知らせする予定です。

 

基本

Web 開発者には安全で機能するコードを作成する責任がありますが、最終的に、そのコードによってユーザーが被害を受けるまたはユーザーの信頼が失われることがないよう対処する、コードが予期したとおりに動作するよう対処する、コードによってシステムの安定性やバッテリー残量に悪影響が出ないよう対処するのはブラウザーの仕事です。これらはいずれも “完了” することのない課題ではありますが、2016 年も引き続き基本を大切に考え、次のような取り組みに注力する予定です。

  • JavaScript ベンチマーク テストで業界トップのパフォーマンスを維持する (他社の追随は許しません)。
  • さまざまな面で製品セキュリティを強化する (驚くような機能強化を多数予定しています)。
  • キーボードを使ったスクロールの速度とインタラクティブな操作性を向上する。
  • Adobe Flash を別のプロセスに分離し、不要なコンテンツの処理を保留する
  • ネイティブ Windows グラフィックにより、より一層 GPU の性能を引き出す。
  • 背面のタブの中断、タイマー、処理機能を向上する。

上記の重要項目の他に、製品利用統計情報とフィードバックにも引き続き力を入れ、最もユーザーが影響を受ける信頼性やパフォーマンスの問題を特定し、できる限り速やかに修正できるよう取り組んでいます。最も影響が大きい実際の問題をどのように特定し、対処しているかについては、今後の投稿で詳しくお知らせする予定です。

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Microsoft Edge と Chrome がサポートする API は、Web 標準仕様に対応しています。しかし、この 2 つのブラウザー間の相互運用性を示す領域に占める標準化済み API の割合は、かなり少ないのが現状です。

それにもかかわらず、ブラウザー評価 (英語) は、各ブラウザーがサポートする新しい API の数を基準にするものばかりです。これは便利な基準になりますが、Microsoft では、実装するテクノロジの選定と、実装するペースについての配慮も、重要な評価基準の 1 つだと考えます。

私たちが目標にしているのは、急速に進化し、そのために Web 開発者にとって不要な大混乱を招く可能性がある新しい Web 標準機能 (Flexbox や WebRTC/ObjectRTC など) や、人気を博したもののさまざまな理由で廃止される可能性がある Web 標準機能 (Object.observe() や SMIL など) を実装する正しいアプローチを見つけることです。

これは完全に科学的な方法ではありませんが、Microsoft ではこの次に実装する標準を決めるとき、標準の仕様の安定性と成熟度、パートナー企業や Web 開発者コミュニティから寄せられた実際のシナリオに即したリクエスト、Bing クローラーによって数億の Web サイトから集められたデータを検証して総合的に判断しています

それを踏まえて、Microsoft では以下のテクノロジの開発を始めました。

上記の他に、既存のアップロード シナリオとの相互運用性を考慮し、ドラッグアンド ドロップ ディレクトリ (英語) (使用されていない FileSystem API のサブセット) も実装しています。将来、フォルダー アップロード シナリオを標準化するために、引き続き WICG において Directory Upload の仕様策定を進めます。

また、複数のリリースにまたがり、標準化のイテレーションを伴うと予想される一部の取り組みについて、最初の調査とプロトタイピングを始めています。この対象のテクノロジには Service WorkerPush API が含まれます。今よりも多くのオフラインシナリオに対応できるよう、これらのテクノロジを使ってホストされた Web アプリのプラットフォーム (英語) を発展させようと意気込んでいます。

その他、Web Components の可能性についてもやはり大いに期待をしていて、昨年、Microsoft Edge の Web Components のビジョンを簡単に説明しました。DOM の再構築への投資を締めくくるにあたり、この次は Shadow DOM のプロトタイプを作成する予定ですが、標準が安定するまでの時間の関係で、これは長期的な投資になるでしょう。

また、次のような魅力的な新しい標準についても、2016 年に成熟レベルが上がることを非常に楽しみにしています。

  • FIDO 2.0: Microsoft は、Google や PayPal、その他の会員組織と協力して、11 月に W3C に FIDO 2.0 のプロポーザル (英語) を提出しました。FIDO 2.0 を改善し、Microsoft Edge への実装を進めているので、この API に対応している Web サイトには Windows Hello を使ってログインできるようになります。
  • Web Payments: Web Payments も進展を期待している分野です。W3C の Web Payments ワーキング グループ (英語) は、ブラウザーがホストするサービスを使用して、決済を統合できる API について別のプロポーザルを現在検討しています。
  • ECMAScript 2016: Microsoft は引き続き ECMA の TC39 委員会 (英語) とも密接に連携して Async 関数 (英語) など、ECMAScript 2016 以降の機能の開発に努めます。Async 関数は、現在既に Microsoft Edge のプレビュー ビルドの試験的な機能として実装されています。

以上は、業界と協力して開発を進めている数十件の標準化のうち、代表的なごく一部にすぎません。これらの機能については、近々、夜間ビルドへの実装が始まる予定です (英語)。Web 標準は常に新たに登場が予定される機能が目白押しです。以上は、現在進行中の代表的なごく一部の標準です。

 

コミュニティへの解放

製品の重点項目の他に、Web コミュニティとの情報共有や、オープンな意見交換ができる手段も充実してきています。開発者が相互運用性の問題を共有および追跡しやすくし、どの Web テクノロジをいつサポートするかについて Microsoft が意思決定に使うデータをより多く参照可能にするプロジェクトが進行中です。

いつものことながら、Microsoft では皆様のフィードバックを募集しています。開発の進捗についてはブログプラットフォームの状態ページをご覧ください。フィードバック用サイト (UserVoice) のプラットフォーム機能についての提案ページ (英語) から実装を希望するテクノロジに投票していただくか、Twitter で @MSEdgeDev (英語) にご連絡ください。

2016 年の予定に胸を高鳴らせています。皆様と Web を築くことを楽しみにしています。

 

– Microsoft Edge プログラム管理担当ディレクター、Jason Weber