マイクロソフト UXデザインワークショップ イベンレポート


こんにちは。MSPの木勢です。2014年2月27日に行われたワークショップ「UXデザインワークショップ」は、第18回一般社団法人情報処理学会シンポジウムの「インタラクション2014」と連携したものでした。今回で3回目を迎える「Kinectワークショップ」。インタラクションデザインの中で中心的な課題であるUX(ユーザーエクスペリエンス:ユーザー体験)をテーマに日本科学未来館で開催されました。

 

ワークショップは下記の構成で行われましたが、今回は本ワークショップの核心である「UXとは何か」をマイクロソフトデザインリサーチャーの中田氏の講演から、そのエッセンスをお伝えします。

【プログラム】

①    新型Kinectセンサーの紹介

千葉慎二氏(日本マイクロソフト株式会社)

②    マイクロソフト製品開発におけるユーザーエクスペリエンスデザイン

中田紘子氏(マイクロソフトデザインリサーチャー)

③    理系UX、美大UX

渡邊恵太氏(明治大学総合数理学部先端メディアサイエンス学科専任講師)

④    パネルディスカッション―UXデザインの教育について—

坂本大介氏(東京大学大学院情報理工学研究科コンピューターサイエンス専攻)
(モデレーター)

渡邊恵太氏

中田紘子氏

 

EssenceUXをつくるためには】

 

〈そもそもUXとは〉

UXとは、「ユーザーが製品・サービス・システムを使ったり、使うと予期されることで生じる、ユーザーの知覚と反応」のことを指します。この知覚と反応は、ユーザーが使う前と、使っている最中、そして使った後までを含んでいます(下図1:具体例参照)。似た言葉にユーザビリティがありますが、ユーザビリティは「使いやすさ」を示し、実用性があって、効率がよく、ほしくなる製品のことを指すことが多いと言われています。

 

図1:具体例(新型タブレット端末を例に)

※便宜上、各段階で一つの知覚及び反応しか記していません。実際はより多くの知覚と反応をユーザーから引き出すことが求められます。

 

〈UXをつくるためにどうしたらよいか〉

ユーザーエクスペリエンスを創るにあたって、まずすべきことが「ユーザーの定義」です(図②参照)。そのためにも、対象となるユーザーを観察し、観察から得られた情報をもとに成功の定義、即ち理想のシナリオをつくります。シナリオに基づいて続いて「解決策」を示し、早速「プロトタイプ」をつくり、ユーザーに対して試します。この一連の流れを何度も繰り返すことで、徐々に洗練されたUX像が浮かび上がってくるのです。

 

図②:対象ユーザーへのアプローチの手順

 

図③:対象ユーザー定義にあたってのサイクルの回し方

 

【ユーザーエクスペリエンスのリサーチプロセス】

 

〈ユーザー観察の方法〉

 ユーザー観察の目的は、製品開発などのプロジェクトにおける「問題への気づき」やリサーチ計画を立てるためのファーストステップです。そのためにも以下の要素を検討する必要があります(図③中①「ユーザー観察」)。

  1. なぜリサーチをするのか、結果をどのように使う予定なのか(目的の提示)
  2. どのような調査をするのか、何時行う予定なのか(スケジュール感の共有)
  3. いくらかかるのか(予算の明示)

 

〈シナリオおよび解決策のつくり方〉

 調査した結果をもとに仮説を立て、続いてシナリオをつくっていきます。シナリオとは、ユーザーの状況と、ユーザーが何をやりたいのかを説明した、ユーザー視点で語られるストーリのことです。例えば以下の要素を含めるやり方があります。

  1. 背景
  2. チャンス・問題
  3. あなたの製品が起こす魔法(空欄にしておく。ここは現時点では詰めなくてよい)
  4. ハッピーエンド(ユーザーの一番したいことを書く)

◎解決策はあえて示しません。なぜならば、完成形を一度に作るのではなく、プロトタイプをつくる過程で、徐々に真の課題や求める機能が見出していけるからです(図③中②及び③)。

 

〈プロトタイプをつくる意義〉

プロトタイプでは、掲げた成功の姿を浮き彫りにするために、調査の過程ででてきた疑問に対する答えを得ることが目的です。従って、プロトタイプをつくる際には、

  1. 具体的な疑問に集中
  2. つくるプロトタイプは捨てるものと考える
  3. 短時間で即座に試す

ことを意識することが大切です。早い段階から質やディティール(細部)に拘りすぎると、ほしい疑問の答えがなかなか浮上してきません。いいデザインに向けて何がハードルとなっているのか、明らかにすることがプロトタイプでは求められているのです。できれば限られた予算の中でも、プロトタイプをつくるプロセスを何度も踏むことで、疑問を解消していくことが望まれます(図③中④「プロトタイプ作成」)

 

では、つくったプロトタイプをユーザーに使ってもらう時にどのような評価基準を持てばよいのでしょうか。一般的には、以下の5つの点を意識することが大切です。

  1. 学習のしやすさ
  2. 効率の良さ
  3. 記憶のしやすさ(期間が空いても同じプロセスで使いこなせるか)
  4. エラーの深刻さ、回数
  5. ユーザーの満足感

 

このように図③でも紹介したように、対象となるユーザーを徹底的に観察する中で得られた洞察をもとに問題を特定し、どのような姿をゴール像として持つかを考えます。その上で、プロトタイプを作成し、より問題意識やハードルを解消していくことで求めるUXに近づけていけるのです。開発者にとってこのプロセスを踏むにあたって注意点があります。自身をターゲットユーザーだと認識してしまうと、うまく客観視できずに適切なフィードバックを得られない可能性もあります。テスト対象は開発者ではない、プロトタイプを見るのが初めての人に対して行うことが望まれます。マイクロソフトの製品開発でも、基本的には上記のようなステップで製品の輪郭が出来上がってくるそうです。

 

いかがでしたか。UXのコンセプトやプロセスは製品開発だけではなく、マーケティングなどにも活かすことのできる概念です。ぜひ“試行錯誤”しながら、よりよいサービスや製品を生み出していけるといいですね。みなさんも、UXのフレームワークを活かして、ユーザーの記憶に残る製品の開発にぜひ活用してみてください!!

 

文責:MSP 木勢翔太


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