【イマジンカップ 2012 番外編】Imagine Cup 世界大会にみる、「日本の競争力と教育の果たす役割」とは。

<本ブログは マイクロソフト日本法人の公式コーポレートブログ "The official Microsoft Japan Blog" から転載したものです>

みなさん、こんにちは。日本マイクロソフトで、教育機関のお客様を担当している中川と申します。

 7/6-10 にオーストラリア シドニーで、今年で 10 年目となるマイクロソフト主催の学生向け IT 技術コンテスト「Imagine Cup 2012 世界大会」が開催されました。私も同行してきましたので、その模様をレポートします。

 この Imagine Cup を「学生向け IT 技術コンテスト」と言ってしまうと、最先端の IT 技術をどれだけ活用しているかを競う技術だけのコンテストのような印象を持たれてしまうかもしれませんが、実際はそうではありません。Imagine Cup は、「IT 技術を使って今日の世界の問題を解決したい、そして、世界に変化を起こしたいという情熱、想像力、技術力を持った学生を応援する」世界規模のコンテストです。そのため、過去の Imagine Cup 出場経験者中には、自らの情熱と想像力を具現化し、起業した方々もたくさんいますし、昨年ソフトウェアデザイン部門で優勝したアイルランドチームのメンバーも既に起業しています。世界大会では参加チームそれぞれが、自分たちが開発したソフトウェアなどを審査員に対してプレゼンテーションしていくのですが、審査員には、投資家が入っていることもあり、発表者に対して事業化を見据えた厳しい質問を出していきます。また、優勝者は、ダボス会議に招待されたり、ビル & メリンダ ゲイツ財団などから資金援助を受けたりする機会もあるため、起業の大きなチャンスとなる大会といっても過言ではありません。    

<ダボス会議でのビルゲイツと Imagine Cup Grants Winners>

そんなこの Imagine Cup 世界大会に、35 万人を超える予選参加者から選出された、75 ヶ国 350 人の学生がチームを組んで、アイデアと技術力を振り絞って参加しました。日本からは、オンライン予選や日本大会を勝ち抜いた合計 3 チームが世界大会に参加しました。そして、結果は、ゲームデザイン部門の 2 チームが世界 Top 5 と Top 10。ソフトウェアデザイン部門は、堂々の世界 2 位という好成績を残しました。日本代表チームにとっては、いずれも過去最高の成績です。世界の舞台で日本チームが活き活きと活躍する姿に感動しました。

<Imagine Cup 2012 表彰式の様子>

 結果として好成績を残した日本チームに同行して、私が驚いたことが 2 つあります。
一つ目は、なんと、日本大会が終了した 2 カ月前には、どのメンバーも英語でのプレゼン経験が全く無かったにもかかわらず、猛特訓を重ね、見事な英語のプレゼンで、この世界大会に臨んだということです。ある学生は、この 2 か月間、毎日 3 時間以上の英語特訓をし、世界大会前に、北京のマイクロソフトの研究部門「Microsoft Research Asia」を訪問した際には、マイクロソフトの研究員に対して英語でプレゼンするなどしてスキルアップを図りました。目標達成のための地道な努力に頭が下がります。

 そして、もう一つ驚かされたことは、高い技術力と現場での対応力でした。ソフトウェアデザイン部門に出場した日本代表チーム”Coccolo”は、「LED 可視光通信による省電力照明ソリューション」で大会に臨みました。しかしながら、シドニー会場に到着したプレゼンテーション前夜、大会運営側による機材チェックの際に、Coccolo が持ち込んだデモ用照明機材の電力プラグ接続許可がおりないというハプニングがあったのです。世界大会が開催された会場では、アースが無い電気器具は使ってはいけないとのことで、アースの無い日本の照明デモ機材と電圧変換機しか持ち込んでいなかった Coccolo は、デモ用機材の通電にストップをかけられた形となりました。しかし、このチームは、翌朝シドニーの電気屋さんに行って電気コードを買い、自らの機材を加工してアースを取り付けることで、プレゼンテーションの直前にデモ機材の通電許可を得て、世界の舞台に臨むことができました。

   
<Coccolo の展示の様子>

「地道な努力と高い技術力」。日本の優秀な先輩技術者達の面影を日本チームの学生に見て、うれしく見守っていました。

学生が主役の Imagine Cup ですが、裏舞台で学生を指導し支えた先生方や、技術指導、英語教育、様々な経験の場を提供したサポートメンバーなど、大人が果たした役割は少なくありません。大人が機会を用意すれば、学生はどんどん能力を伸ばしていくことを心底痛感しました。英語力のハンディキャップに臆さず、全力を尽くす学生に感動すると同時に、最近の日本の学生は元気がないと嘆く大人ではなく、学生を応援する大人として何ができるかを改めて考えさせられた Imagine Cup 2012 世界大会でした。

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