【世界大会への道】イマジンカップ日本代表メンター後藤真孝先生の講演

イマジンカップ日本代表強化トレーニングの取り組みの一つとして、5/23(水)~5/25(金)の日程で、北京にある「マイクロソフトリサーチアジア(MSRA)」を訪問してきました。今回のツアーには、イマジンカップ日本代表のメンターとして後藤真孝先生(産業技術総合研究所)に同行いただきました。

5/23(水) MSRA到着後、後藤真孝先生によるイマジンカップ日本代表向けの特別講演が行われました。講演タイトルは、『記憶に残る研究を目指そう』です。

一昔前は、良い仕事をすれば、それで充分だったかも知れませんが、情報過多の現在では、「記憶に残る」研究、技術、仕事・・・がとても重要になってきています。では、いかにして、記憶に残せばよいのでしょうか?後藤先生は、自身の研究成果を紹介しながら、記憶に残る研究とは何かを伝えていきます。まずは、「音楽鑑賞の未来」ということで、様々な研究成果を実例やデモを交えて紹介いただきました。(研究詳細は、それぞれのシステムを検索して調べてみてください。)

  • 音楽再生時の再生位置の変更を自在に行える音楽試聴機 「 SmartMusicKIOSK
  • 音楽再生時に歌詞と楽曲との自動的な時刻同期を行う 「 LyricSynchronizer
  • ドラムパートのリアルタイム編集機能付きオーディオプレーヤー 「 Drumix
  • 音楽コレクションを能動的に閲覧して好みの楽曲と出会うことを可能とする 「 Musicream

 次に、「音楽制作の未来」ということで、初音ミクに代表される「歌声情報処理」の研究成果を紹介いただきました。まずは、初音ミクは、世界に類を見ないCGM(Consumer Generated Media)の新たな時代を切り拓いているという導入で、「歌声情報処理」研究の世界へ、日本代表の学生をどんどん引き込んでいきます。下記の作品を紹介いただきました。

初音ミクのような2次元のキャラクターではなく、3次元のサイバネティックヒューマンが歌うデモ動画は、あまりにも自然(人間のよう)で、驚愕でした。

さらに、最新研究成果の紹介ということで、能動的音楽鑑賞サービス「Songle」を紹介いただきました。

  • ユーザが誤り訂正により貢献可能な能動的音楽鑑賞サービス「 Songle 」 

最後に、研究成果全体の紹介を通して、インタラクションデザインの重要性を伝えていただきました。機能を提供することだけでなく、使ってみたい、触ってみたいというデザインやインタフェースを提供することが、本当に重要となっています。イマジンカップだけでなく、あらゆる製品、サービスに通じて言えることだと思います。また、後藤先生が心がけていることとして、「フィニュッシュ力」と「プロ意識」という話もしていただきました。最後まで手を抜かず、細部まで気を遣うこと、プロの仕事に見えるか?を常に自問すること、言い訳をしないことなど、非常に大切なことです。また、イマジンカップに日本代表として挑戦したあとにも心がけて欲しいメッセージとして「セルフプロデュース力」の重要性や、「他流試合の勧め」という話も印象に残りました。最後は、講演予定時間をオーバーして議論が続くほどの熱のこもった講演となりました。それぞれの研究(システム)を魅力的なデモ(実演)とともに紹介いただき、イマジンカップ日本代表の学生には、プレゼンテーションのお手本としても参考になったと思います。

後藤先生、MSRA訪問ツアーを通じて、非常に中身の濃い講演と、イマジンカップ日本代表の英語プレゼンテーション練習への Heart のこもった熱く、的確なフィードバックをありがとうございました。

アカデミックエバンジェリスト 渡辺弘之 @hwata007