Lync Server 2010 Network bandwide - 帯域制御

こんばんは。Lync サポートの久保です。

 

本日のテーマは Lync Server 2010 の帯域制御についてです。

 

帯域の制御方法といたしましては、会議ポリシーによる制御と通話受付管理 (CAC)による制御に分けられます。

これらは多人数会議、 P2P 通信の双方に適用される動作となります。

(会議ポリシーであっても、P2P のメディア トラヒックについて制御されます。)

本日は次の観点でまとめてみたいと思います。 

 

1. 多人数会議を開催した際の制御方法 (最大レートをどう規定するか)

2. 拠点間で P2P コールを実施した際の制御方法

 

 (1) 会議ポリシーによる制御   
ビデオ会議にて利用される帯域の制御は、以下のコマンドレットによって定義されています。

 

Title : Set-CsConferencingPolicy

URL   : https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/gg425788(v=ocs.14).aspx

     
オーディオ・ビデオストリームを含む、利用帯域に関するパラメーターとしては以下のものがあります。    

AudioBitRateKb : オーディオの送信で使用されるビット レート (キロビット)。

                            この設定は、ユーザーごとのレベルで適用され、電話会議とピアツーピア両方の通信セッションに関係します。

       
VideoBitRateKb : ビデオの送信に使用されるビット レート (キロビット) です。

                             この設定は、ユーザーごとのレベルで適用され、電話会議とピアツーピア両方の通信セッションに関係します。

 

     
オーディオ・ビデオにつきましては、多人数会議、 P2P 通信のいずれにも関連するパラメーターとなります。

また、多人数会議に関するパラメーターとして以下のものがあります。

 

MaxMeetingSize : 会議への出席を許可するユーザーの最大数を示します。

                         最大参加者数に到達すると、会議に出席しようとする他のユーザーは、会議の参加者数が満員になったことを示す通知を受け取り、参加を断られます。

                         この設定は、会議を主催するユーザーに適用されます。

                         このポリシーの影響を受けるユーザーが作成した会議では、規定した数を上回る参加者が許可されません。

                         ただし、そのユーザーは、それより参加者数が多い他の会議に参加できます。

 

     
従って、多人数のビデオ会議において会議サーバーに集中するトラフィックの最大帯域は以下によって計算されます。

 

ビデオ最大帯域 = ( AudioBitRateKb + VideoBitRateKb ) *MaxMeetingSize

P2P 通信においては拠点間の帯域を考慮した制御が必要となるため、次に説明させていただく通話受付管理の実装も必要となります。

なお、参加者が既定値である 250 ユーザーを超える会議の場合、 MaxMeetingSize に注として記載されている以下の点を考慮する必要があります。

 

250 は、Microsoft のテストに基づく共有プール展開の最大値です。

       
参加者が 250 名を超える会議をサポートする場合の情報については、「Microsoft Lync Server 2010 大きな会議のサポート」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkID=242073)
を参照してください。

 

 
(2) 通話受付管理 (CAC) による制御

通話受付管理の詳細につきましては、以下の技術資料にまとめられております。

 

Title : 通話受付管理

URL   : https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/gg398842(v=ocs.14).aspx

 

通話受付管理を構成するためには多くのコマンドレットを組み合わせて実装する必要があります。

作成した設定をまとめ、クライアントに対して定義するための以下コマンドレットをポインターとして参照ください。

 

Title : Set-CsNetworkConfiguration

URL   : https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/gg398927.aspx

 

会議ポリシーは個々のクライアントが利用する帯域を定義するものでしたが、通話受付管理ではサイト単位(ネットワーク単位) で帯域の制御を行います。

通話受付管理の機能を正しく実装するためには、まず以下のステップによりネットワークの構成を正しく把握して設計に落とし込む必要があります。

 

a. エンタープライズ ネットワーク内のハブ/バックボーン (ネットワーク地域) を特定します。

b. 各ネットワーク地域内のオフィスまたは拠点 (ネットワーク サイト) を特定します。

c. ネットワーク地域の各ペア間のネットワーク ルートを決定します。

d. 各 WAN リンクの帯域幅制限を決定します。

e. 各ネットワーク サイトに割り当てる IP サブネットを特定します。

 

また、オーディオ・ビデオの帯域に関する定義には、以下 2 種類の概念が用いられます。

 

AudioBWSessionLimit / VideoBWSessionLimit

オーディオ/ビデオの接続において、セッションごとに利用される最大帯域を定義します。

       
AudioBWLimit / VideoBWLimit

オーディオ/ビデオの接続において、全てのセッションで利用できる合計最大帯域を定義します。

         
この値を超えて接続が試行された場合、最後のセッションは接続を開始できません。

ネットワークトポロジーを認識する仕組みに基づき、サイト間の通信に対して許可される合計帯域を超えないように接続が制限されます。

これにより、多人数会議、 P2P 通信に関係なく、有限な帯域しか持たない WAN 回線の飽和を回避し、品質を確保するための制御を可能とします。

 

ひきつづき、快適な Lync ライフをお楽しみください。