Internet Explorer 11 向けエンタープライズ モードを利用して常に最新の環境を確保

マイクロソフトは、企業のお客様が、最新のソフトウェア、サービス、デバイスを利用できるように、重要な一歩を踏み出しました。Windows 7 と Windows 8.1 の更新として本日発表された Internet Explorer 11 向けエンタープライズ モードは、旧バージョンの Internet Explorer に対する互換性を向上します。また、このモードをどの Web アプリケーションで使用するかを管理するツールも付属しています。

最新の Web 標準、パフォーマンスの改善、最新の IE によるセキュリティ強化のメリットを享受できると同時に、レガシの Web アプリへの既存の投資を引き続き活用できます。旧バージョンへの依存性を軽減することで、Windows 8.1、Office 365 などのサービス、Surface Pro 2 のようなデバイスの導入のハードルが下がり、最新の環境を確保しやすくなります。

最新の Web 標準、パフォーマンスの改善、最新の IE によるセキュリティ強化のメリットを享受できると同時に、レガシの Web アプリへの既存の投資を引き続き活用できます。また、旧バージョンへの依存性が軽減されることで、Windows 8.1、Office 365 などの最新のサービス、Surface Pro 2 のようなデバイス導入のハードルが下がり、最新の環境を確保しやすくなります。

エンタープライズ モードが最新の環境確保に役立つしくみ

現在、多くの企業が、HTML5 や CSS3 のような最新の標準を要件とする新しい Web アプリケーションやサービスと、旧バージョンの Internet Explorer 向けに設計された古い Web アプリケーションやサービスとの違いに悩まされています。レガシ アプリには、概して多額の投資がなされ、数年単位の長期にわたるライフサイクルがあるため、企業ユーザーは、これらの Web アプリを最新の Web 標準に更新できる日が来るまで、旧バージョンの Internet Explorer に依存することになります。

2009 年に発表された Internet Explorer 8 は、Windows 7 に対応した初めてのブラウザーで、古い Web サイトの互換表示など、革新的機能を備えていました。IE8 は Windows XP でも動作するため、多くの企業ユーザーと開発者が、Windows 7 への移行を円滑にするために IE8 で標準化する方法を選択しています。Net Applications (英語) によると、Internet Explorer 8 はデスクトップ ブラウザー市場で現在も 20% 以上のシェアを占めています。IE9、IE10、IE11 のほうが IE8 よりも多くのシェアを獲得していますが、依然として IE8 に依存して事業を運営している企業のお客様も多くいらっしゃいます。

Internet Explorer 11 のエンタープライズ モードは、Internet Explorer 8 との下位互換性を高めることで、この依存状態から脱却し、IE8 と IE11 の両方の利点が得られるようにします。つまり、モダンな最新のブラウザーで、古い Web アプリへの既存の投資を引き続き活用できます。

エンタープライズ モードが互換性を向上するしくみ

Internet Explorer 11 向けのエンタープライズ モードを設計するに当たって、エンジニアリング チームは、お客様から報告された互換性の問題を分析した結果、特定のカテゴリに問題を分類できることがわかりました。エンタープライズ モードでは、次のような領域を対象としています。

  • ユーザー エージェント文字列の違い: 多くのレガシ Web アプリは、現在のベスト プラクティスである機能検出ではなく、ブラウザー検出を使用しています。エンタープライズ モードはで、元の Internet Explorer 8 ユーザー エージェント文字列をレプリケートすることで、サイトが IE8 をブラウザーとして認識できずにエラーが発生した場合に問題を解決します。
  • ActiveX コントロールおよびその他のバイナリ: 一部の ActiveX コントロールは、ブラウザーのバージョンを照会して、予期しない応答を受け取った場合、エラー メッセージを返さずにエラーになるため、エンタープライズ モードでは、IE8 の応答を模倣することで、これを回避します。テストでは、お客様から、このような ActiveX コントロールの多くが、エンタープライズ モードで「問題なく動作した」という報告をいただいています。
  • 廃止された機能: Internet Explorer 8 には、オブジェクトを動的にページ上に配置するために使用されていた CSS Expressions など、わずかながら一部の独自機能が残っています。この機能は、Internet Explorer 9 以降のバージョンで削除されましたが、レガシ Web アプリの中には、この機能を使用してボタンやその他の要素を配置しているものもあります。エンタープライズ モードでは、CSS Expressions を含め、廃止された機能の一部を復活できます。

エンタープライズ モード適用前と後の IE
この Web アプリは、Internet Explorer 11 のエンタープライズ モード (右図) では正しく動作する。アドレス バーの丸で囲まれた部分は、エンタープライズ モードを示すアイコン。

  • 事前キャッシュおよび事前レンダリング: Internet Explorer 11 などの最近のブラウザーの多くは、ページの事前キャッシュと事前レンダリングによって、より滑らかなブラウズを実現しています。事前キャッシュされたリンクをクリックすると、そのタブに代わって、事前レンダリングされたコンテンツ タブが表示されます。レガシのナビゲーション コントロールにとって、この動作は扱いにくいため、エンタープライズ モードではこれが無効になります。

Internet Explorer 11 でエンタープライズ モードを使ってページをレンダリングすると、さまざまな構成とコードの変更がなされ、上記を含めて、よく発生する互換性の問題が解消されます。また、Internet Explorer 8 (および IE8 の互換表示) を対象とすることで、エンタープライズ モードは、Internet Explorer 7 など、さらに古いバージョン向けのサイトでも有用です。これは、仮想化ではなくエミュレーションです。エンタープライズモードでは、IE11 内でのより円滑な IE8 のエミュレーションを実現しながら、古い Internet Explorer 8 のバイナリを実行することに伴うパフォーマンス、セキュリティ、その他の問題を回避します。

パフォーマンスについては、私たちは、この 5 年間でさまざまなブラウザーの強化を行いました。Internet Explorer 11 は IE8 よりも劇的に速くなっています。Web アプリは 2 倍の速さで読み込まれます。エンタープライズ モードでは、ネットワーク機能の強化、刷新されたスクリプト エンジンとレイアウト エンジン、ハードウェア アクセラレーションを利用したグラフィックなど、導入された機能強化を利用します。ブラウザーを評価する場合は実際のパフォーマンスが重要ですが、以下の JavaScript のテスト結果は、エンタープライズ モードを使った Internet Explorer 11 と、オリジナルの Internet Explorer 8 との圧倒的な速度の違いを示しています。実際にアプリケーションを実行して、ご自身で確認してみてください。

エンタープライズ モードでの JavaScript のパフォーマンスは、IE11 と比べるとやや劣るものの、IE8 より格段に高速。

Internet Explorer 11 向けエンタープライズ モードは、すべての互換性の問題を解消するものではありませんが、最も一般的な問題の多くに有効です。いずれにしても、これは弊社によって継続して投資を行う対象であり、お客様が Internet Explorer の最新バージョンを使用して最新の環境を維持していただけるようにする重要な対策の 1 つです。

エンタープライズ モードの管理方法

Internet Explorer 11 向けエンタープライズ モードは、既定では無効になっています。レガシ Web アプリを指定して有効にすると、ユーザーの Web 閲覧中に、IE11 が動的にエンタープライズ モードを切り替えます。Internet Explorer は、シームレスなブラウズ エクスペリエンスを提供します。ユーザーが、サイトごとにどのブラウザーを使うべきかを気にする必要はありません。

企業の IT 担当者は、一元管理された XML リストまたはリスト グループを使って、エンタープライズ モードでレンダリングするサイトとパスを制御します。たとえば、www.contoso.com/travel にはエンタープライズ モードを使い、www.contoso.com/erp には最新の「エッジ」標準モードを使うという設定が可能です。リストを管理するための新しい Enterprise Mode Site List Manager ツール (下図) が、近日中に提供される予定です。

エンタープライズ モードの IE サイト リスト マネージャー
Enterprise Mode Site List Manager - CRM システムと ERP システムに、新しい (既定の) パスとレガシ (エンタープライズ モード) パスをそれぞれ指定

エンタープライズ モードを有効化/無効化するレジストリ キーと、XML リストへの URL パスまたはローカル リンクを提供するレジストリ キーの 2 つのレジストリ キーがあります。これらは、新しいグループ ポリシーを使って設定できます。たとえば、部門ごとまたは場所ごとに、リストを変えて構成できます。

  • レジストリ キー
  • 機能

[HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\ Policies\Microsoft\Internet Explorer\Main\EnterpriseMode] “Enable” = “” | {URL:port}

  • 互換性の問題がある Web サイトに対して、ユーザーがエンタープライズ モードを有効にできるかどうかを指定できます。オプションで、ユーザーがエンタープライズ モードを有効化または無効化したときに (POST メッセージにより) 報告を受け取る場所を指定することもできます。

[HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\ Policies\Microsoft\Internet Explorer\Main\EnterpriseMode]

“SiteList” = {File or URL}

  • エンタープライズ モードを使って開く Web サイトのリストの格納場所を指定できます。リストは、新しい Enterprise Mode Site List Manager ツールを使って、管理できます。

エンタープライズ モードの構成に使うレジストリの場所
エンタープライズ モードを有効化するレジストリ キーと、モード適用サイトのリストの格納場所を指定するレジストリ キー。

有効にすると、エンド ユーザーがツールのメニュー オプションを使って、任意のページをエンタープライズ モードで表示できます。これは、全ユーザーを対象にすることも、テストの目的で一部のユーザーのみを対象にすることもできます。このレジストリ キーを使って、手動での設定変更についての情報を収集することもできます。有効な URL とポートを指定して "Enable" キーを構成すると、ユーザーがエンタープライズ モードを有効化または無効化するたびに、Internet Explorer から指定されたアドレスにシンプルな POST メッセージが送信されます。これは、互換 Web アプリのリストを自社ユーザーからクラウド ソーシングで入手することになり、トリアージやテストのコスト削減につながります。

エンタープライズ モードについてさらに詳しく知るには

Internet Explorer 11 向けエンタープライズ モードについて詳しくは、Internet Explorer TechNet サイトおよび BUILD のセッション「Better App Compat with Enterprise Mode for Internet Explorer 11」をご覧ください。

Internet Explorer 11 は、パフォーマンスの向上、セキュリティの強化、および現在の Web サイトやサービスの原動力となる HTML5 や CSS3 などの最新テクノロジのサポートを提供します。エンタープライズ モードにより下位互換性を強化することで、Internet Explorer 11 では、お客様が最新のブラウザーで常に最新の環境を確保し、新しいソフトウェア、サービス、およびデバイスを導入しやすくしています。

- Internet Explorer 担当リード プログラム マネージャー、Kevin Miller

— Internet Explorer 担当製品マーケティング マネージャー、Fred Pullen