W3C の最終草案の公開を受け、ポインター イベントについてさらに詳しく

2 月 19 日 (火) に、W3C はポインター イベント仕様 (英語) の最終草案 (Last Call Working Draft) を公開し、標準化と相互運用性に向けて大きなマイルストーンに到達しました。3 か月少し前に標準化が始まったこの仕様の目的は、タッチ、ペン、マウスなどさまざまな入力デバイスに対応する新世代の Web エクスペリエンスの実現を支援することです。W3C でのこの段階に達したことを嬉しく思い、現在 IE10 で提供されている API を使って、タッチ、ペン、およびマウス入力向けのサイトとアプリケーションの構築に役立つ最新のリソースを一部ご紹介したいと思いました。

タッチ主導の Web デザインとポインター イベントについて

ポインター イベントは、まったく新しい、サイトへの入力方法です。そこで、私たちは、このテクノロジと、これを使って魅力的なエクスペリエンスを構築する方法について、開発者の皆さんに知っていただくお手伝いをしたいと考えています。WebPlatform.org (英語) のドキュメント作成の取り組みの一環で、弊社のプログラム マネージャーの Rob Dolin は、幅広い内容を網羅した新しい入門 (primer) (英語) を追加しました。このドキュメントには、ポインター イベントの詳細と実装のための基本的なサンプルが含まれています。

また、私は、米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催された W3Conf で、タッチ主導デザインとポインター イベントについて発表する機会を頂戴しました。参加できなかった方は、この発表をオンラインでご覧 (英語) いただけます。この発表では、基本のタッチ主導のガイドラインを示し、ポインター イベントと、マウス イベントからポインター イベントへの移行手順を紹介しています。

まだポインター イベントを試すお気持ちにならない方のために、すばらしい Web エクスペリエンスをいくつか紹介します。以下は、ポインター イベントを使ったタッチ主導エクスペリエンスです。今後、このようなエクスペリエンスが続々と登場するでしょう。

ポインター イベントをすぐに使う

IE10 はポインター イベントをサポートしていて (ベンダー プレフィックスを使用)、市販されている数百万台のタッチ対応 Windows 8 デバイスを利用できます。"マークアップ共通化" が目標であることに変わりはなく、標準化はその目標を実現するための手段の 1 つに過ぎません。また、Microsoft の子会社の Microsoft Open Technologies, Inc. (英語) は、WebKit コミュニティと共同で WebKit プロジェクト用ポインター イベント (英語) のオープン ソース プロトタイプ パッチを作成しています。Web 開発者は、AppendTo がリリースした、ポインター イベントを使った Chromium ビルド (英語) を使って、この初期プロトタイプを試すことができます。

現時点でのポインター イベントの利用を支援するその他の試みとしては、Microsoft France の David Cathue が、複数のブラウザーでポインター イベントをサポートするための HandJS (英語) という JavaScript ポリフィルを開発しています。このスクリプト ライブラリをページに組み込み、ポインター イベント モデルに出力すると、IE10 でのポインター イベントの完全なエクスペリエンスが得られます。David は、初めての方に参考になるデモ (英語) も用意しています。

ポインター イベントのワーキング グループは、次のマイルストーンである勧告候補 (Candidate Recommendation) に向かっています。ポインター イベントの標準化の今後の道のりが楽しみです。

Jacob Rossi

プログラム マネージャー