NHKスペシャル「世界ゲーム革命」を観て

先日「NHKスペシャル 世界ゲーム革命」という番組を観ました。Microsoftの同僚たちからも観たという話を聞いたので、IT業界的には興味を持っている人が多いんだなと思いました。

ゲームのテスト専門会社の四六時中ゲームをしている社員が怖いという人や、日本は大丈夫かProjectX!みたいな人もいました。私自身は後者で、米国の水平分業マニュファクチュア vs. 日本の家内制手工業という(ありがちだけど事実の)構図が怖かったです。ハリウッド vs. 邦画の二の舞かといつも不安に思っています。

藤沢武夫と本田宋一郎、鈴木俊夫と宮崎駿、山内博と宮本茂みたいなプロデューサー/ディレクター モデルが私は好きなのですが(Steve Ballmer と Bill Gatesもかな)、日本にはプロデューサーが見当たらないように見えます。優れたクリエーター・ディレクターはたくさんいるのに...

特にエンターテインメント業界では、映画が失敗例で(最近邦画が人気みたいですが...)小津、黒澤などの名監督(ディレクター)がいたのに衰退しましたからね(これもガラケー モデルと言えるかな?)。逆に米国はハリウッド映画が人気なくなってきた分ゲーム業界に人が集まってます、怖いです。元イマジカの人が以前、もしかするとPixarILMになれるチャンスはあったのに、と言っていたのを思い出します。

クールジャパンでクリエーターを育てるなんて言ってないで、プロデューサーを育てて、クリエーター・ディレクターがちゃんと食っていけるようにしてもらいたいですね。食っていけないとアニメ業界みたいに崩壊・空洞化しちゃいますよ。日本のゲーム業界の給料はIT業界の中でも決して良くはないですから。それに比べ、米国のゲーム業界の給料は他のITエンジニアに比べて良いといわれています。日本では清貧がもてはやされますが、宮崎駿さんとか宮本茂さんには豪邸に住んでもらって、トトロの森や京都の山々は私が買い占めます、なんて言ってもらいたいな...

「洋ゲーに面白さで負けたことはない」とおっしゃったゲーム開発者もいました、「リアリティのために現実のシミュレーションばかりして(西洋の)ゲームはどうなっちゃうんだろう、それで面白いんだろうか」とおっしゃったゲーム開発者もいました。コンテンツ、面白さ、品質、そういったことだけではグローバルなマーケットで勝っていけないのが苦しいところです。

ハードウェア ビジネスは開発コストが多少上がっても、同等の品質で製造コストを下げて儲けるというトヨタやユニクロみたいなビジネスモデルが可能ですが(それでも円高で苦しんでますが...)、ゲームを含むソフトウェア ビジネスは製造コストがほぼゼロに近いので、開発コストを下げるか大きなマーケットで販売数を増やして売り上げを増やすかしかないので、ちゃんと食っていくためにはグローバル マーケットで戦わざるを得えません。少子化もあって日本のゲームマーケットは大きくならないでしょうし。

もうクリスマスだというのに前に長々と愚痴話にお付き合いいただきありがとうございました。来年は明るい年にしたいですね。Windows Phone 7 ゲームで日本人の億万長者!とか出ないかな?