【de:code】 エバンジェリストたちの偽らざる想い

拝啓 皆さん、ご無沙汰しております。日本マイクロソフト 奥主です。
管理職になって年月を積み重ねるうちにどんどん筆不精になってしまい、なんとこのブログも 2013 年 11 月から更新が止まってしまっています。そろそろ何か書こうと思ってこれを書いています。

実は昨年の4月にこんな投稿が下書きに入っていました。
【de:code】 いよいよ語るべき時か。de:code にかける偽らざる想い

昨年の de:code に参加された皆さんはエバンジェリストがどんな想いで今 様々な活動をしているか、その一端を共有していただけたと思います。

ここで時を遡らせてください。昨年どうしても投稿できなかったことを改めて書こうと思います。

* TechEd Japan 2011 ~ あの時何が起こったのか ~

実は TechEd のコンテンツの取り纏めメンバーとして活動を開始したのは前任者の西谷(彼はかなり長いことやっていた)のあとを受けて完全に受け取ったのは確か 2007年 だったかな。自身でも IIS のセッション枠があるとほぼ私に来るようになっていたころで、一緒に取り纏めもやるんだぁ とかなり戦々恐々とした覚えがあります。以降、毎年のように社内で「TechEd いつなの?」と聞かれるようになった。周りに比べると Excel が得意な方なので Excel を駆使しまくって毎年セッション枠と時間割を決めてました。当時を覚えている人はよくご存じと思いますが、インフラ系のセッションも多かったので私の所属するデベロッパー&プラットフォーム統括本部(現 デベロッパーエクスペリエンス & エバンジェリズム統括本部)のエバンジェリスト以外のスピーカーも多かったことからある意味 調整を行わないといけない分量が他の開発系のイベントに比べると3倍ありました。なので TechEd を開催するというのは社内調整の嵐なわけです。正直この実情は私の前任の西谷しかわからないと思う。

その夏の風物詩が2011年に途切れました。
https://www.microsoft.com/japan/teched/2011/default.aspx

そうです、東日本大震災で電力供給が心配されていたあの時です。社内ではそれこそ何度も何度も検討会議も行い、見送るときが決定された時、社内関係者も断腸の想いでした。しかし、社会情勢的にも運営的にも無理だったんです。本当に開催中に会場の電源が落ちる、お客様の安全を確保すること、色々な要素を加味すると開催できる目途がまったくたちませんでした。準備はきっちり進めていたのですが、この決定ですべての歯車が違う方向に回り始めました。

*Windows Developer Days

そこから色々なことがありました。

まず、2012年。Build 2011 を受けて日本でのイベントを検討しようとなった。でも Windows 8 関係の情報は開発部門から統制がかかっていて、日本で独自に検討した内容を話すことが許されませんでした。ソーシャルも結構厳しく言われていました。本質的に誰の指示だったかは今となってはわかりません。クラウドへのシフト、Windows系の情報発信のこのような状況。それらを踏まえて、場所も横浜が確保できていないので都内で Windows Developer Daysをやろうということになりました。

https://www.microsoft.com/ja-jp/events/wdd/default.aspx

やる以上はしっかりやりたいということでこれもコンテンツの取り纏めをやりつつ、ちゃんとHTML5を生かしたいということでイベントのマーケティングメンバーに頼んでWDDのページにはHTML5で動画が流れるデザインにしていました。(現在は版権の関係でそのコンテンツはなくなっています。)そして色々な情報発信の制限がある中、WDDを完遂しました。このイベントに関してはアンケートで色々なフィードバックをいただくことになり、会場の込み具合など、胸が痛かったことがいっぱいありました。多くの方からもらった話として横浜でやればいいのにというのがあった(TechEdやっていたころには横浜が遠いというフィードバックが多くあったんですけどね。悲しい)のですが、パシフィコ横浜の予約を行うには正直2年くらい前から埋まっているわけでいきなり開催することが決まってもその状況なので他の会場で実施するとあそこまで受付はスムーズにできないんです。いったん途切れた糸を繋ぎ合わせるのは本当に大変です。

* Windows Developer Days のあと

で、2013年は技術系の大型イベント開催なし。ようやく昨年 de:code ができる運びとなったのですが、会場に関しては上記の制約のままです。正直 社内外 数百名に「TechEdやらないんですか」と聞かれたと思います。エバンジェリストたちも本当は夏のエンジニアの祭典をやりたくて仕方ないんです。でも様々な制約のため、やっぱりまだ復活ののろしをあげるのは時期尚早なんです。

*de:code 2014

そして de:code。CEOが交代し、「Mobile First、Cloud First」を打ち出した昨年、実施するイベント。Windowsに関する情報発信の制限もありません。ようやく届けたいメッセージをお届けできる、それが de:code 2014 でした。でも 昨年の de:code は TechEd ではありません。BUILD2014 で行われた様々な発表やセッションの中身を日本語で2日間に凝縮してご理解いただける場として構築しました。インフラ系は TechEd ほど充実させられないけど、クラウド系はインフラ系もちゃんと入れて、Cloud First とはどういうことなのかちゃんと語ろう、そういうスタンスで開催させていただきました。実は当日のサプライズである教材は私が仕掛け人でした。本当に可能性を全部探って、できることは全部やってあの場を迎えたので、当日の発表の瞬間は感無量でした。みんな喜んでくれている、熱い気持ちにはみんな応えてくれるんだ、そう感動した瞬間でした。

*TechEd へのみんなの想い

でも やはり昨年の de:code は TechEd ではありません。今は管理職だけれども、元インフラ系のエバンジェリストとしては実は本当に納得いってないのが本音です。絶対にどこかで必ずや。。。そういう想いはそのまま残し、日々を重ねました。

そして、米国でも TechEd の名前が消えました。今年から Ignite という名前のイベントになりました。

https://ignite.microsoft.com

*de:code 2015 にかける想い

会場の問題は解決しない、でも de:code は開催が決定した。そんな中、ロジ周りは TechEd と同じにできる状況じゃない、ならコンテンツやサブプログラムだけはなんとかできないかということで検討を開始しました。

de:code 2015 は今も計画中で準備を粛々と進んでいる状況です。コンテンツの検討の仕方を今年は TechEd のころと同じに戻し、開発者視点だけでなく、しっかりインフラや製品情報もふれることのできる場にしようと思って鋭意進めています。コンテンツを考えているのは私のチームの 佐藤直樹、クラウドを見ているチームの 井上大輔、そしてそれこそ TechEd の開催が無いことを最も憂いてきた 高添修 です。このメンバーに各製品マーケチーム一丸となって今年の de:code 2015 を作っています。

*de:code 2015

de:code 2015 も TechEd ではありません。そして de:code 2014 とも違うものです。でも創っている側の気持ちは TechEd です。しかし、TechEd を連続開催していたころには 米国の build カンファレンスもありませんでした。なので、 de:code 2015 = TechEd + //build なのです。

直近で Surface Pro 3、Microsoft Azure、Windows Phone、Xbox One、HoloLens、Surface Hub など色々なものが記事やソーシャルで取り上げていただける状況になっています。本当にありがたいことです。これらをどこまで取り上げていけるか今 私はまた勝負をしています。

参加費が昨年の de:code と比較するとお安くなっています。TechEd に戻そうとしているからです。TechEd をやっている時に特別な教材を提供することはやりませんでした。色々な憶測が飛んでいますが、参加費の額の違いで皆さんのご質問にはお答えしていると思います。サプライズがあるかは今はわかりません。

TechEd が連続で開催されているころに一緒に熱い想いを持っていただいていた皆さん、そしてその指導を今は受ける立場の皆さんも昔みたいに夏の開催ではありませんが、赤羽橋で2日間、講師陣の熱い想いをお届けしたいと思っています。「IT 技術で世の中を変える」、そんなことを真顔で真剣に悩んでいる連中とともに時間を過ごしていただけませんか?

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de:code 2015 イベントページ
https://aka.ms/decode2015

これからイベントページやソーシャルに注目です。どんどん更新が入っていきます。

昔の TechEd の期待値がある人に向けて、あと少し色々と書いておきます。

  • 稟議書テンプレートなんかも昔の TechEd の学びからご用意しています。
  • 残念ながら昔の HOL(ハンズオン)はやはり予算と場所の制約でできそうもありません。
  • パーティはやる予定です。
  • 元の横浜の会場ではないので周辺飲食店で自由に使える食事券の提供はありません。食事はつきます。
  • その代りにほかのサブプログラムを用意します。
  • BOFと昔呼んでいたものは「チョークトーク」として復活させます。
  • 気持ち的には 「TechEd 新聞」ならぬ 「de:code 新聞」を復活させようと思っています。
  • エバンジェリスト複数人でお届けするスペシャルセッションも企画しています。

これからも Web の Update を先取りして色々と書こうと思います。
我々エバンジェリストも含めた全スタッフの正直な気持ちをお届けできるように。

それでは皆様のご参加を心よりお待ちしております。
それでは5月末、会場でお会いできることを楽しみにしています!

デベロッパー エクスペリエンス&エバンジェリズム統括本部
クライアントテクノロジー推進部 部長
奥主 洋(おくぬし ひろし)