【★ミ】Windows ストア アプリはシステム開発費で開発するもの?! そうなの?

Windows というとやはりビジネスの匂いがする、そうよく言われます。マイクロソフトもかなり長いことエンタープライスだ、ミッションクリティカルでも Windows だと言ってきた気がします。Windows Server や SQL Server が社内の結構重要なシステムで使われたり、Exchange Server が重要なメールの基幹を支えているとこで使っていただいている状況というのはそういうことを言い出した当時では考えられなかったです。そう思い起こすとそこまで来たんだなぁと思うわけですね。

ここまで書いたそうしたシステムは企業の IT 戦略と密着したものになっているので当然情報システム化予算の中で捻出することになるし、支払いの一方通行になります。普通。

ここ 5 年以上起こっているインターネットに面した様々なシステムはこれと比してどうなんでしょう?本業とか実業の BtoC システムであれば社内と何ら変わりないかもしれません。では企業概要が掲載されているコーポレートのページはどういう予算でやっていますか?

Windows ストア アプリは実は Web サイト運営に近いと思います。一般の開発者にとっては一獲千金の機会かもしれませんが、企業にとってこのアイテムをどう活用するかというのは結構 色々な道が考えられます。故にビジネスで Windows ストア アプリを活用する際、そこには深く検討する必要が潜んでいます。

マイクロソフトはビジネス面での Windows 8 活用を日本語では確かにそれほど発信できていないのですが、本社ではこの課題に結構取り組んだ情報発信をしてきています。こちらは完璧に従来の企業システムの発想で見た時にどういうストア アプリを作る発想が存在するのかという話です。下記は Build 2012 でのセッションです。

Building Windows 8 LOB apps
https://channel9.msdn.com/Events/Build/2012/2-104

*LOB apps = Line of Business apps ≒ 業務アプリケーション

これのスライド21に業務システムでまだ未着手のエリアでストア アプリの活用が有効なものが載っています。

PoS、製品カタログ、ワークフロー管理、ダッシュボード、監視と対処、フィールド業務(建築現場とか)

これ以外にも結構今後出てくると思いますが、スタート地点としてはいいピックアップではないでしょうか。Windows 8 からの大きな特徴としてはタブレット型のデバイスへの本格的な対応とタッチですから、業務としてそれが活きるものをピックすればいいということになります。経営層がキーボードを駆使しなくてもダッシュボードがタッチで見れると経営に役立つ(現場は嫌かも 笑)、ショールームとかカタログがいっぱい存在するようなエリアで1台で全部まかなえるとか最高ですよね。しかも Windows 8 だと周辺機器も豊富、画面サイズも色々選べるわけですからショールームにホワイトボードサイズの画面が各接客エリアにおいてあってもいいわけです。

ちょっと話を戻すと、この Build で取り上げられているものは業務アプリ、しかも Windows ストアに公開しないで Side Loading という手法で企業端末に配布することも含めてのアプリ活用手法です。つまりは業務アプリケーションなので、今までと多分予算捻出の方法論は変わらないでしょう。無論 より営業部隊からの要請が多そうなものが多い感じはしますが。

この辺を知りたい人が多いので敢えて脱線して書いておきました。

話を完全に戻すと、Windows ストア にあがるアプリケーションはどうビジネスに絡むかということです。繰り返しですが、個人開発者・起業を考えている人たちはアプリの値段そのもの あるいは広告、アプリ内販売を活用して一獲千金を狙うモデルでしょう。

もうそれなりのサイズのビジネスであればどうなんでしょう?

一つ私が個人的に思うことはこの10年間、成長してきたみんなが使い倒しているのは Web の世界の概念だということです。Web サイトへの顧客誘導、SEO・SEM、とにかく呼びたいところに新規顧客を呼び込んできたい、そう思って一生懸命色々なことをみんなやってます。企業がやるソーシャルも結局はそうでしょう。

この話と Windows ストア アプリの関係を今までの業務アプリのモデルと対比したり、特徴をみてみると面白いです。

・LOBの世界では基本的に開発費は払って現場が有効に活用することを踏まえてROIを考える。でも Windows ストア の世界では成功するとなんと開発費を回収し、収入となる可能性があり、ROIはそこまで織り込まないと変なことになる。

・Windows ストアはほかのアプリマーケットよりもかなり自由度が高い。3rd Party 広告、支払 に関して自由なので例えば会員を増やしたいモデルを想定している場合には会員を増やす効果を無料のアプリから入ってくることで実現できる。

・Windows ストアは Web の中核技術である HTML・JavaScript・CSS を使っても作ることができる。これまで Web に投資してきた各企業のエコシステム(サイトデザインを依頼した会社、コンテンツ開発を依頼した会社、Webサイトの素材など)がかなり有効に使えることは大きい。

・Web でよくあることはキャンペーンを張っている商材、サービスが置かれている階層が凄く深いので予算や技、知己を駆使しながら検索で上位に来るように必死になることです。しかし、その階層が深いテーマでキャンペーンアプリを作ればいきなりトップページを開く効果に等しくなります。Windows ストアのスポットライトなどに掲載されるには相当そのアプリ自身の付加価値が必要ですが。(占いがついていて、それがよく当たるとか 笑)

こうして思考を進めていくとわかることがあると思います。そうです。Windows ストアを企業が活用する場合、それはプロモーション効果や広告効果、集客効果が狙えるのです。ただ、開始画面でいきなり Web をそのまま表示しているアプリは審査に通りませんのでそれだけじゃダメです。無料のアプリを利用する価値をそれなりに提供し、最終的に Web に誘導する、そういう設計は OK です。

ただ、アプリが何の目的でできているのか、それはとても利用者にとって重要です。だから無償で提供するアプリの目的もきちんと考察して作るべきです。有料コンテンツの一部が見れるとか、Windows ストア アプリならではの何かの特典があるかなどです。ゲームだったら最初の面だけは実行できるとか。

結果として、Windows ストアのアプリ デザイン、開発はもちろん情報システム予算でやってみるのもありですが、むしろ広告宣伝費などで効果低めな施策をアプリに切り替えてみるという道に皆さんに気づいていただけると今後の日本のビジネスはもっと面白くなりそうです。ウインク