“エコシステム”


このブログに対し電子メールとコメントで多くのフィードバックをいただいています。いただいた一つ一つのご意見には複数の側面あるいは立場があります。一貫して見られるのは、ユーザーの皆様ご自身にとって、ベストのものを選択して欲しいというご要望です。選択の幅はWindowsをどのように構築するかに関して極めて重要なので、私は選択の幅 (あらゆる形の選択肢) の問題について理解したいと常々考えています。選択の幅について取り上げるのは、Windowsがエコシステムの一部だからです。多くのユーザーがコンピューターのタイプ、オペレーティング システムの構成、およびアプリケーションやサービスの作成、提供、使用などに関して多くの選択をすでに行っていらっしゃいます。また、Windowsはこのエコシステム内の大きなコンポーネントになりつつあり、Windowsだけでは選択の幅の問題を解決できないのです。私たちが Windows 7で行おうと努めているのは、Windows 7の構築においてこのエコシステムの各側面において優れた仕事を成し遂げることです。


エコシステムと選択の幅とは密接な関係があります。私たちは、Windowsを構築するときに、Windowsを取り巻くエコシステム内の多くの重要な代表的なグループのことを念頭に置いています。それらは、


l  PCメーカー


l  ハードウェア コンポーネント メーカー


l  ソフトウェア開発者


l  先駆的ユーザー


です。上記のグループは、PC エクスペリエンスの提供、多くユーザーがPCを手にして特別仕立ての差別化されたエクスペリエンスを準備できる環境の形成、また、企業が独自の差別化された製品やサービス (および消費者への選択肢) の提供により利益を得る環境の形成に関して、おのおの主要な役割を担っていらっしゃいます。そして私たちの Windows 7での目標は、各グループがWindowsで得られるチャンスを最大限に利用できるように、計画をより明らかにし、より力強くそれを推進することです。


PCメーカー (OEM) は、様々なエコシステムの側面を統合する重要なポイントです。彼らは、ハードウェア コンポーネントを購入して統合し、ソフトウェア アプリケーションをプレインストール(バンドル)します。また、PCの販売などにおいて販売業者と協力します。PCメーカーが PCと工業デザインで提供する選択肢を、私たちは個人としてもとても重要視しています。最近、より低コストのラップトップや極めて薄いラップトップが大々的に売り出されているのを目にします。それぞれに独自の機能と利点とが組み合わされています。時として膨大な消費者向けの選択肢は、他に見られないほど豊富です。Windows 7では、優れたエクスペリエンスを顧客に提供する方法について共有していくために、開発プロジェクトの当初からOEMと非常に緊密に協力し合っています。一緒になって差別化されたPC エクスペリエンスの提供方法を共有し、プレインストールされたソフトウェアについてのユーザーからのフィードバックを共有し、さらに、新しい PC上でのブートやシャットダウンなどのエンド ツー エンドのパフォーマンスに関する主なメトリック測定においても共同で取り組んでいます。


ハードウェア コンポーネントには、CPUI/O の「コア」周辺機器、さらにアドオン コンポーネントまですべて含まれます。ハードウェア メーカー (IHV) の優れた仕事により、 Windowsよってサポートされるハードウェア デバイスの選択の幅は膨大なものです。Windows 95とプラグ アンド プレイの導入以来、新しいデバイスを単に接続するだけで機能するというこのエクスペリエンスは、さらなる向上を求めて引き続き研究されています。そのエクスペリエンスにより、Windowsのリリースとは関係なくOS拡張機能を体験できます。この領域については、機能するのが保障された少数のデバイスだけをサポートすべきだと言う人たちもいます。しかし、選択の幅の広さと機能向上し続けるハードウェアの存在は、Windowsの固有のリリースとはしばしば無関係に、ハードウェア メーカーが、Windowsでの差別化されたエクスペリエンスとを供給する能力によってもたらされるのです。デバイス ドライバー モデルは、これを実現する為にMicrosoftが提供したWindowsのコア テクノロジーです。Windows 7では、ドライバー モデル安定化の促進に取り組み、Windows Vistaでの成果がWindows 7にシームレスに適用されるよう推進しています。ドライバーは、ハードウェア メーカーが、差別化されたエクスペリエンスを表現する場所です。したがって、選択の幅と機会の多さは非常に重要です。私たちの大部分は、Windows 7の「クリーン インストール」が“当然”機能し、必要な場合にはWindows Updateからのドライバーをシームレスに取得するというエクスペリエンスを望んでいます。これは今、現代のPCの大半上で“当然”機能すると表現されますが、数年前と比べたら驚きの機能なのです。私たちは、PCメーカーと同様にハードウェア・メーカーとも長い時間協力し合っています。WinHECでは、Windows 7でのデバイスやハードウェア エコシステム関連での進歩をお見せする機会を用意しています。


ソフトウェア開発者は、Windowsのためのソフトウェアを作成します。ハードウェア エコシステムと同様に、ソフトウェア エコシステムでもWindows プラットフォーム向けに開発する多くの人々が存在します。Microsoftのルーツはプログラミング言語の提供にありますので、ソフトウェア開発者はMicrosoftの中では特別の位置にいます。Windowsの各リリースでは、開発者が使用して開発したいソフトウェアを開発するための、新しいAPIおよびシステム サービスが提供されます。Windows 7を開発する際に直面する2つの主な挑戦があります。まず、Windows Vista上で動作するプログラムを、引き続き確実に Windows 7上で動作させるということです。それはプロジェクトのスタート当初からの私たちの公約です。皆さんもご存知のように、これは新しいオペレーティング システムを提供する場合、おそらく最も重要な点です。時には万全を尽くせない場合もあるので、各リリースの際、リリース前にどうしたらより多くのソフトウェアのテストや確認できるかを考えます。ベータテストは確かに助けになりますが、それですべて品質検証ができるかといえばそうではありません。Windowsの各リリースで私たちが改善してきた手法であるテレメトリー(遠隔測定)が、重要となります。リリース時には互換性を持たない時もあるのですが、このテレメトリーによりリリース後に問題点を診断して対処することができます。アプリケーションエラーが生じ、インターネットに接続している場合は、更新版が利用可能というメッセージを目にしたことがあるかもしれません。もちろん、この一連の過程をもっとしっかりする必要があることを理解しています。Windows 向けの開発者がこのような状況に陥らないように活用できるツールや手法を改善する必要があります。ユーザーがソフトメーカーとMicrosoft間でたらい回しにされるのは最良のソリューションではありません。


2番目の課題は、開発者がアプリケーション用に新機能を提供するのを支援する、新しい APIを供給することです。それと同時にこれらの APIは、それを利用するために時間を費やしてもよいほど十分に価値がある必要があります。私たちはしばしば内部的に、GUIの全体的な「大きな」進歩について話し合います。それは、クリップボードであったり、アプリケーション固有のドライバーを開発する必要のない印刷できる機能であったりします。現在、ネットワークやグラフィックス機能は、アプリケーション開発で重要な役割を果たしています。Windows 7でタッチ機能に関連した新たな機能についても話しました。私たちは64 ビットが、開発者がエネルギーを費やすべき場所であるということを明確にしてきておりますし、64 ビットへの移行は進行中で、私たちはそこに集中しています。


先駆的ユーザーとは、エコシステムの重要なイネブラーです。あなたもこのブログの読者ならば、エコシステムのこのグループの一員である可能性が大いにあります。この業界で働いている私たちでさえも、この業界の“ファン”でもあるからです。Windows リリースが先駆的ユーザーにアピールする必要があるということには多くの理由があります。たとえば、私たちの多くは、家族、友人や近所の皆さんのために、構成や設定を最初に行います。私は、学校の先生や友人のために新しいワイヤレス ネットワークを設定するために土曜日を費やします。皆様の多くも同じことをしていると思います。先駆的ユーザーは常にPCに対しての選択や設定の自由度を要望するグループです。プレインストールされたソフトウェアのロードに基づいてレビューを始めるのは先駆的ユーザーのサイトや雑誌です。ゲーム グラフィックスのような新しいハードウェアの限界を押し挙げるのも先駆的ユーザーです。64 ビット Windowsを支持しているのは先駆的ユーザーの皆さんで、マイクロソフトをプッシュして、Windows 7向けに64 ビットの環境が準備ができていることを確認させているのも先駆的ユーザーです (私たちももちろんプッシュしています)。私は、先駆的ユーザーをこのエコシステム全体とコミュニケーションするための重要なチャネルと考え、開発の様々なフェーズに参加していて頂いています。このブログは、先駆的ユーザーと私たちがWindows7の開発にあたり、行うべき選択肢に関する複雑な事情を共有する絶好の機会です。


エコシステムには、このほかにも全体をまとめるための重要な参加者がいます。システム ビルダーとVARは、PC ソフトウェア、およびサービスを世界中の企業に提供します。いただいた電子メールによれば、このブログの読者の多くはエコシステムのこの部分を担っています。多くの国々では、リテールショップ(販売業者)は、個人ユーザーのためのインターフェースになっています。IT プロフェッショナルは、大企業ユーザーのために、多数のPCに対するカスタマイズおよび管理を要求します。そのニーズは組織ごとに独自であり、非常に厳しいものです。


エコシステムは最良のアプローチではなく、Windowsの「表面積」を狭くして、より少数のデバイス、より少数のPC、より少数のアプリケーション、を対象とし、過去のものとの互換性を持たせないようにすれば、ユーザーのためにはるかによいジョブを行える場合がある、と言った人もいます。私はさまざまな意見より、人々が多くの選択肢 (DPIやモニター サイズだけをとっても) を望んでいることを理解しました。エンジニアリングの視点から、より狭い「表面積」は、エンジニアリングの問題を容易 (定義により) にするという人もいるでしょう。しかし、実際には、そのような方法は、ユーザーの方々が利用できる選択肢を根本的にどんどん狭めてしまいます。実際には、エンジニアリングとは、いかに制約を適所に設定するかということで、それらの制約という名のデバイスやアプリケーションの選択肢の幅、Windowsの「歴史」こそが資産でもあるのです。PCのためのエコシステムは、多くのユーザーが多くのアイデアを早い時期に試す場所で、初期にはいささか常軌を逸しているように見えても、後になればメインストリームになるようなアイデアを検討する場所でもあります。 Windows 7では、Windows Vista用に皆様が行った仕事を基礎に置きつつ、エコシステムに向けての新たな準備に取り組んでいます。


エコシステムは、関連するグループとの関係の深さおよびその幅がたいへん重要です。このブログでの対話の目的を達成するには、エコシステムについてこの時点で強調するのは価値があることだと思いました。エコシステムの各グループのニーズをバランスするには常にエンジニアリングの影響があります。完全に1つの見方で最適化するのは、短期的には最善に見えることもありますが、時間の経過を考慮すると、それは極めて危険なやり方です。差別化に対応する安定したプラットフォームの利点は、多くの人に利益をもたらすからです。


Windows 7では、PCエコシステムの一員として、より優れた仕事をすることを第一としました。


以上の私たちの考えは、皆さんのエコシステムについての思いと比べてどうでしょうか。優れたPC エクスペリエンスをもたらしている人々のことを、もっとよく説明できればと、いつも考えています。


--Steven

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