Dynamics CRM 2015/Online 2015 更新プログラム 業務ルールの新機能

みなさん、こんにちは。

今回は Microsoft Dynamics CRM 2015 および Microsoft Dynamics CRM Online
2015 更新で提供される、業務ルールの新機能を紹介します。

業務ルール新機能

業務ルールは Microsoft Dynamics CRM 2013 および Microsoft Dynamics CRM
Online Fall ’13 で提供された機能です。業務ルールについてはこちらの記事
ご覧ください。

今回のリリースでは既存の新たに以下の新機能が追加されました。

- AND/OR 条件
- If/Else If/Else 条件
- 既定値の設定
- サーバー側実行

AND/OR 条件

以前のリリースでは複数条件を指定した場合 AND 条件のみがサポートされて
いましたが、今回のリリースでは OR (または) 条件がサポートされています。

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If/Else If/Else 条件

オプションセットの値の様に複数の条件で場合分けする際に、以前までは
それぞれの条件ごとに業務ルールを作成する必要がありましたが、今回の
リリースで If/Else If/Else 条件を指定することができるようになりました。

以下の画面ショットでは、企業形態が「公開企業」の場合と「非公開企業」
の場合、およびそれ以外の 3 つの条件に分けられています。

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既定値の設定

既定値の設定はレコードの作成時に対してのみ利用できる機能です。既に
値が設定されているレコードを更新した際には影響しません。この機能に
よりレコード作成時に必要な値が入ることを保障します。

以下の画面ショットでは、利用限度額の既定値を設定しています。

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サーバー側実行

業務ルールはクライアントサイドで実行されるフォームスクリプトとして
実行される機能でしたが、今回のリリースではサーバー側でも実行する機能
が提供されます。

業務ルールをサーバー側でも実行したい場合、スコープを「エンティティ」
に変更します。こうすることで 1 つのルールでクライアントサイドおよび
サーバー再度両方で処理が実行されます。

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サーバー側実行と既定値の利用

新しい概念であるサーバー側実行と既定値の利用を試してみましょう。

1. 設定 | カスタマイズ | システムのカスタマイズを開きます。
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2. エンティティ | 取引先企業 | 業務ルールより、新規をクリックします。
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3. ルール名に「限度額既定値」と入力します。

4. スコープを「すべてのフォーム」から「エンティティ」に変更します。
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5. 操作セクションの「+アクションの追加」をクリックして「既定値の
設定」をクリックします。
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6. 以下のように利用限度額の既定値を設定して、右下のチェックマークを
クリックします。
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7. 「保存」ボタンをクリックします。

8. 「アクティブ化」ボタンをクリックします。確認ダイアログでも
「アクティブ化」をクリックして業務ルールをアクティブにします。

動作確認

今回はいくつかのパターンで動作を確認します。

通常フォームからの新規作成

1. 営業 | 取引先企業から「新規」ボタンをクリックします。
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2. フォーム下部にある「利用限度額」フィールドを確認します。
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値を上書きした場合の挙動

既定値は値が無い場合に値を設定する機能になるため、手動で値を
上書きした場合は、その値が残ります。

1. 営業 | 取引先企業から「新規」ボタンをクリックします。

2. フォーム下部にある「利用限度額」フィールドに既定値が入っている
事を確認してから任意の値で上書きしてからレコードを作成します。

3. レコードで手動で設定した値が維持されている事を確認します。

簡易作成からの新規作成

最後に「利用限度額」フィールドがないフォームである簡易作成から
レコードを作成した場合も、サーバー側の処理によって値が入ることを
確認します。

1. ナビゲーションバーの「作成」ボタンをクリックして、「取引先企業」
をクリックします。
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2. 任意の名前を付けて保存します。

3. 保存したレコードを開いて「利用限度額」に既定値があることを
確認します。

各種制限

最後に各種制限を紹介します。

- スコープがエンティティ以外に設定された業務ルールでは、レコード
保存時には動作しません。
- フィールドに対してのみ設定ができるため、タブやセクションに対する
表示のコントロールが必要な場合は JavaScript での開発が必要です。
- 業務ルールでフィールド値を変更している場合、OnChange イベントに
設定されたスクリプトは無限ループを回避するため動作しません。
- フォームにないフィールドについては、スコープをエンティティに設定
した既定値の設定以外は機能せず、またエラーを出すこともありません。
- 形式を「期間」「タイムゾーン」「言語」に設定した整数フィールドは
業務ルールで利用できません。
- タブレット用 Microsoft Dynamics CRM アプリケーションは業務ルール
をキャッシュされるため、新しいルールはアプリケーションを一旦終了
してから起動しない限り反映されません。
- 参照フィールドの値を業務ルールで設定している場合、表示名を利用
してレコードを検索するため、対象レコードの表示名を変更した場合は
業務ルールも更新する必要があります。

まとめ

今回のリリースでは条件をより詳細に設定できるようになったことで
これまで複数に分割せざるをえなかったルールを統合できます。また
サーバー側の処理もプラグイン開発をする事なく設定できると同時に
クライアント側とサーバー側の処理を 1 つのルールで定義できます。

是非お試しください!

- 中村 憲一郎