Dynamics CRM 2011 Developer Toolkit (ベータ版) の紹介

みなさん、こんにちは。

今回から数回にわたり、SDK 5.0.5 で提供された開発者向けの新しいツール
Developer Toolkit for Microsoft Dynamics CRM を紹介します。

Developer Toolkit for Microsoft Dynamics CRM とは

このツールキットは Visual Studio 2010 の一部として機能し、Dynamics CRM 2011
および Dynamics CRM Online の開発をより効率的に行うためのツール群を提供します。
ツールキットを利用することで、プラグインやワークフロー、Web リソースを効率よく開発
できるほか、Visual Studio 2010 より直接モジュールを展開することも可能です。

前提条件とインストール方法

前提条件

· Visual Studio 2010 プロフェッショナル エディション以上

· Microsoft Silverlight 4 Tools for Visual Studio 2010 または Visual Studio 2010 Service Pack 1
※ Visual Studio 2010 Service Pack 1 は Microsoft Silverlight 4 Tools for Visual Studio 2010 を含みます。
※ Visual Studio 2010 Service Pack 1 のインストールが行えない環境では、個別に
Microsoft Silverlight 4 Tools for Visual Studio 2010 を こちら よりインストール可能です。

· Windows Identity Foundation
Dynamics CRM Online の開発に必須です。 こちら よりインストールが可能です。

インストール手順

SDK\Tools\DeveloperToolkit\CrmDeveloperTools_Installer.msi を実行します。
※インストーラーは前提条件を確認しないため、必ず前提条件を満たしていることを
確認してから、インストールを実行してください。

インストーラーを実行するとウィザードが出ますので、「Installation Complete」の
画面まで進めて、Close をクリックすれば完了です。インストール後 Visual Studio 2010
より新規プロジェクトの作成で、Dynamics CRM 関連が追加されているか確認してください。

image

ツールキットが提供する機能

ツールキットは、以下の機能を提供します。

‐ 各種テンプレート
‐ Dynamics CRM への接続
‐ CRM Package プロジェクト
‐ CRM Explorer ビュー

各種テンプレート

以下の 4 種類のテンプレートが提供されます。

テンプレートの種類

説明

New Visual Studio Solution Template for Dynamics CRM 2011

プラグイン、ワークフロー、Silverlight およびパッケージプロジェクトを含んだソリューションテンプレート

Dynamics CRM 2011 Plug-in Library

プラグイン開発用のクラスライブラリテンプレート

Dynamics CRM 2011 Workflow Library

ワークフローカスタムアクティビティ開発用のクラスライブラリテンプレート

Dynamics CRM 2011 Package

Microsoft Dynamics CRM 2011 へ開発モジュールを展開するためのプロジェクトテンプレート

Dynamics CRM への接続

プロジェクト作成時に、Dynamics CRM への接続を作成するためのプロンプトが自動的に
出ます。ソリューションの選択も可能ですが、選択しない場合は、既定のソリューションが
対象となります。

新しいソリューションでの開発を行う際は、事前にソリューションを作成してください。

CRM Package プロジェクト

CRM Package プロジェクトは、プラグインやカスタムアクティビティ等、開発のモジュールに
対する参照および、設定を保持しており、展開に使用できるプロジェクトです。

各種コンポーネントはプロジェクト参照として、または WebResource 配下に追加され
RegisterFile.crmregister はプラグインやカスタムアクティビティの登録情報を保持します。

CRM Explorer ビュー

Visual Studio 2010 からソリューションの中身を確認できるビューです。

image

ツールバーのボタンは以下の機能があります。

アイコン

機能

clip_image001

ツリー全体を最新の情報に更新します。

clip_image002

接続している Dynamics CRM のトップ画面を表示します。

clip_image003

接続しているソリューションのトップ画面を表示します。

またツリー上のアイコンを右クリックすることでコンテキストメニューが
表示され、以下の操作が可能です。

ツリー内のアイテム

メニュー

説明

組織名

Refresh

ツリー全体を最新の情報に更新します。

Entities

Generate Wrapper

CRMSVCUtil.exe が実行され、事前バインド用のクラスが生成されます。もしプラグインプロジェクトが 1 つだけの場合には自動で実行されますが、複数ある場合には Generate Entity Wrappers ダイアログでどのプロジェクトに対して、生成したファイルを含めるかを指定できます。

 

Refresh

エンティティツリーのみ更新します。

Entities > 特定の Entity

ダブルクリック

選択したエンティティ定義が開きます。

 

Create Plugin

Create Plug-in ダイアログが開き、選択したエンティティに対するプラグイン開発が行えます。

Option Sets

Refresh

オプションセットツリーのみ更新します。

Option Sets > 特定のOption Set

ダブルクリック

選択したオプションセット定義が開きます。

Web Resources

Refresh

Web リソースツリーのみ更新します。

 

Add to packaging project

全ての Web リソースを、プロジェクトに追加します。

Web Resources > Web Resource Type

Refresh

選択したタイプの Web リソースツリーのみ更新します。

 

Add to packaging project

選択したタイプの Web リソースを、プロジェクトに追加します。

Web Resource Type > 特定の Web Resource

ダブルクリック

選択したWeb リソース定義が開きます。

 

Add to packaging project

選択した Web リソースのみプロジェクトに追加されます。

Processes

Refresh

プロセスツリーのみ更新します。

Processes > Dialogs

Refresh

ダイアログツリーのみ更新します。

Dialogs > 特定の Dialog

ダブルクリック

選択したダイアログ定義が開きます。

Processes > Workflows

Refresh

ワークフローツリーのみ更新します。

Workflows > 特定の Workflow

ダブルクリック

選択したワークフロー定義が開きます。

Plug-in Assemblies

Refresh

プラグインツリーのみ更新します。

Plug-in Assemblies > 特定の Assembly

ダブルクリック

選択したアセンブリの依存関係が開きます。

 

Add Plugin

Create Plug-in ダイアログが開き、Primary Entity が指定できます。

Plug-in Assemblies > 特定の Assembly > 特定の Plugin

Refresh

選択したプラグインを更新します。

 

Add Step

Create Plug-in ダイアログが開き、ステップの追加が行えます。

 

Delete Plugin

プラグインの登録情報のみが削除されます。ソースコードは残ります。

 

Edit Plugin

Plugin Type Information ダイアログが開き、情報を編集できます。

Plug-in Assemblies > 特性の Assembly > 特定の Plugin > 特定の Step

Edit Step

Create Plug-in ダイアログが開き、ステップの情報を編集できます。

 

Delete Step

ステップの情報が削除されます。

Security Roles

Refresh

セキュリティロールツリーのみ更新します。

Security Roles > Business Unit > 特定の Security Role

ダブルクリック

選択したセキュリティロール定義が開きます。

Field Security Profiles

Refresh

セキュリティロールプロファイルツリーのみ更新します。

Field Security Profiles > 特定の Field Security Profile

ダブルクリック

選択したセキュリティロールプロファイル定義が開きます。

まとめ

今まで Dynamics CRM 2011 の開発時には、Visual Studio 2010 や Internet Explorer、
また他のカスタムツール間を移動する必要がありました。このツールキットを利用すれば
より多くのコンポーネントの開発と管理が Visual Studio 2010 内から実施できます。

次回以降では、具体的な使い方を見て行きます。

英語のドキュメントでも大丈夫!という方は、developer toolkit user's guide.docx が
インストーラーと同じフォルダにありますので、是非ご覧ください。

- Dynamics CRM サポート 中村 憲一郎