SSRS 用 Microsoft Dynamics CRM コネクタは、一体何をしているのか?

みなさん、こんにちは。

今日は、構築関連のトピックとして、CRM 4.0 の新機能である SSRS 用 Dynamics CRM コネクタが
実際に何をしているかを、分かる範囲で紹介します。今日は FAQ 方式で書いてみます。
※SSRS = SQL Server Reporting Services

Q1. SSRS コネクタは、何をしているのでしょうか?

A. 簡単に言うと、レポート表示時の 「認証方法」 を変更しています。 CRM のレポートは既定で Windows 認証を
使用していますが、これをフォーム認証に変更しています。また CRM からレポートを開いた際に、フォーム認証に
必要な、ログイン名とパスワードを渡す役割をしています。

Q2. SSRS コネクタは、どこにインストールすればいいでしょうか?

A. SSRS サーバー上です。

Q3. どんな環境に SSRS コネクタが必要なのでしょうか?

A. Internet Facing Deployment (IFD) の環境には必須です。また CRM、SSRS、SQL を別筐体にインストール
している環境では、SSRS コネクタをインストールすることで、ダブルホップ問題が解消します。

また、「レポートのスケジュール」 機能を使用するためにも SSRS コネクタが必須です。

Q4. なぜダブルホップが解消するのでしょうか?

A. ダブルホップの問題は、Windows 統合認証を使っている環境で、2箇所以上に渡って認証情報を渡す必要が
ある場合に、発生します。よって SSRS 上でフォーム認証を使うと、この問題は発生しません。

Q5. なぜ IFD には必須なのでしょうか?

A. IFD は CRM にログインする際に、フォーム認証を使っているため、 SSRS に Windows 認証情報を渡せません。
よって SSRS 側でもフォーム認証が必要となります。

Q6. Windows 統合認証と、フォーム認証の違いはなんでしょうか?

A. Windows 統合認証は、PCにログオンしている認証情報を使用します。一方フォーム認証は、フォームに
ユーザー名とパスワードを入力して認証します。 Internet Explorer では、認証画面をポップアップすることも
できるため、ユーザ名とパスワードを明示的に入れることが可能ですが、これはあくまで Windows 統合認証です。

Q7. SSRS コネクタをインストールすると、どこの設定が変わりますか?

A. SSRS 上に存在する、MSCRM_DataSource データソースの設定が変更されます。既定では、接続のタイプが
SQL サーバで、認証にWindows 統合認証を使うように設定されていますが、SSRS コネクタインストール後は、
接続のタイプは 「Microsoft CRM Data Extension」 に変更され、「レポート実行者に指定された資格情報」 を
使うようになります。

SSRS コネクタインストール前:

SSRS コネクタインストール後:

Q8. MSCRM_DataSource が 2 つありますが、その違いはなんでしょうか?

A. MSCRM_DataSource は、<組織_MSCRM> 直下と、<組織_MSCRM>\4.0 配下に存在します。 CRM が
使用するのは 4.0 フォルダの配下で、SSRS コネクタをインストールして設定が変わるのも、このデータソースです。
<組織_MSCRM> 配下にあるデータソースは、CRM 以外のアプリケーションで使用できるデータソースです。
この場合、使用元サーバと SSRS サーバが異なる場合、ダブルホップの設定が必須となります。

Q9. Report Manager から見ると、<組織_MSCRM> フォルダ配下になにもありません。

A. 画面右端の、「詳細の表示ボタン」 をクリックすることで、内容が表示されます。

以上、知りたい質問はあったでしょうか?他にも知りたいことがあれば、是非コメントで聞いてくださいね。

- Dynamics CRM サポート 中村 憲一郎