IT 業界や IT 開発者(デベロッパー、プログラマー) に興味を持つ学生の皆さんへ ~ マイクロソフト、そしてエバンジェリストの仕事とは?

そろそろ学校 (小学校~高校) の夏季休暇は終わりでしょうか。最近の夏休みの宿題で、興味を持った業界・業種について調べてまとめる、という課題があるとのこと、中学生の方からマイクロソフトおよび私の職種(エバンジェリスト)や業務についてのご質問をいただきました。

IT 業界や IT 開発者(デベロッパー、プログラマー) に興味を持つ学生の皆さんにご参考になればと思い、ご質問いただいたご本人の許可をいただき、公開させていただきます。

※こちら個人的な意見に基づくものであり、所属組織や同じ職種であっても、同じ状況ではない可能性があることを予めご了承ください。

 


マイクロソフトの事業内容について

Q1. マイクロソフトの Web サイトには「ソフトウエアおよびクラウドサービス、デバイスの営業・マーケティング」との記載がありました。同じ業界の他社とは異なる特長を教えてください。

A1. 日本には 日本マイクロソフト株式会社(ソフトウエア関連サービスの販売およびマーケティング) と マイクロソフト ディベロップメント(開発拠点) の2つの会社組織があります。「ソフトウエアおよびクラウドサービス、デバイスの営業・マーケティング」は日本マイクロソフト株式会社の業務内容になります。

こちらのご質問は、マイクロソフト (米国マイクロソフト コーポレーション (本社) 以下世界中のすべての組織) として、お答えします。

● 日本マイクロソフト株式会社 : 日本マイクロソフトについて (Webサイト)
● マイクロソフト コーポレーション : about Microsoft (Web サイト: 英語)

マイクロソフトは、ソフトウエアやオンライン(クラウド)サービスを提供し、それを活用したアプリケーションやサービスの開発のためのツールまでを提供しています。例えば、

- 個人向けの製品・サービスとして、PC マシン本体(Surface や関連機器) や OS (Windows))、Windows 上やそれ以外のデバイスでも利用できるアプリ(Office など)やサービス (OutlookSkypeOneDrive など) があります。

- IT 事業者向け(ソフトウエア、アプリを開発販売する会社または個人向け) として、クラウドサービス(Azure)や開発製品(Visual Studio)、開発技術(.NET (C#, Visual Basicなど開発言語も含みます))を提供しており、個人向け・企業向け・IT事業者向けと幅広い製品・サービスを提供しています。

近年では、Windows に限らずさまざまなOSでお使いいただける開発ツールや技術(Visual Studio Core, .NET Core など) を無償公開したり、Linuxも使える環境(Azure Virtual Machine)を提供したりするなど、Windows に限らない方針を採っています。また、OSS (オープンソース) 化 (=技術を全部公開して、誰もが修整・拡張できる環境を作ること) も合わせて評価されています。

 

Q2. 海外のマイクロソフト社との業務上のつながりについて教えてください。

A2.  日本マイクロソフト株式会社は、米国マイクロソフト コーポレーションの日本法人(子会社) になり、マーケティングおよび販売に関して協同しています。

マイクロソフト ディベロップメントは日本も開発拠点の一部であり、世界各地の拠点と共に、会社自体が一体となってソフトウエア関連サービスの開発を行っています。

 

Q3. なぜマイクロソフトでは Apple と違い、OS を独占せず、他社のハードウエアに搭載できるようにしているのですか。

A3. もともと マイクロソフトはハードウエアを持たず、各社のマシンにインストールできるOS (Windows) を開発、販売してきました。(現在では個人ユーザー向けにはSurfaceといったPCを販売していますが...)

コンピューターの発展初期の段階では、各マシンに特化したアプリケーションを開発するのが普通でした。この場合、それぞれのマシンの強みを生かすことはできますが、他の種類のマシンではせっかく開発した同じアプリケーションを利用することができません。Windows の場合は、一度 Windows 上で動くアプリケーションを開発すれば、Windows がインストールされている様々な種類のマシンでも利用することができるという利便性を提供してきたと言えると思います。(今でも、PC自体は 富士通、NEC、東芝、Lenovo など各社が製造していますが、Windows 上のアプリケーションは同じものが動きます)

 

Q4. 20年後にはマイクロソフトはどのように変化していると思いますか。

A4. わかりません。IT業界の変化は激しく、Dog Year と呼ばれているぐらいですので...。(成長の速いイヌにとっての1年は人間の7年に相当する=通常7年の変化が1年で起こる)

もし存続しているとすると、ITを取り巻く技術進歩と時代の中でも新しい価値を世の中に提供できる企業であり続けていると思います。

 


エバンジェリストの仕事について

Q5. 担当されている業務内容について教えてください。

A5. Microsoft Azure というオンライン・クラウドサービスを担当し、お客様 (IT関連製品・サービスの開発に携わる方々) に向けて、ご説明と販売を行います。(実際の販売契約は営業担当者が行います) 最近は その中でも Cognitive Services と呼ばれる AI をAPI経由で簡単に利用できるサービスを主に扱っています。

特に エバンジェリストという職種として、ITの製品やサービスの基盤 (ベース) となるサービスで、お客様に馴染みのない新しいサービスであることも多いため、実際にどのように開発、利用するのかをお伝えする必要があります。手順を追いながらご説明するデモを行ったり、実際にお客様で利用いただく場合を想定したサンプル開発を行うなど、利用方法とそのメリットをご理解いただけるような業務も行っています。

 

Q6. なぜ日本マイクロソフトに入社しようと決めたのですか。

A6. あらゆるソフトウエアや(オンライン)サービスを開発するうえで、1社ですべての必要な技術を持っている会社だと思ったからです。何社かを組み合わせて開発するのが最善の場合もありますが、1社の技術で統一できるのであれば、親和性が高い・1社でまとめてサポートを受けられるなどメリットが大きくなります。

お客様にご提案・販売する際、マイクロソフトの信頼性が高いのもポイントの一つです。

 

Q7. 担当の業務で難しいこと、大変なことは何ですか。

A7. ソフトウエアやオンラインサービスといった「目に見えないもの」「ユーザーには使っているという意識がないが、基礎技術として使われているもの」を担当しているので、マイクロソフトの製品やサービスがどのように皆様のお役に立っているのか、説明が難しいことがあります。(特にIT業界以外の方々には理解も難しいようです)

 

Q8. 仕事をしている中でどんな時にやりがいを感じますか。

A8. お客様にマイクロソフトの製品やサービスをご説明して、その良さを理解していただいて、実際に使っていただけたとき。

 


社会人としての仕事の取り組み方について

Q9. 社会に出て働く上で、一番必要な能力は何だと思いますか。

A9. 物事の本質を見る目だと思います。

もう少し説明すると、いろいろな情報が飛び交う中でも何が事実なのかを把握すること、表面的な現象にとらわれずに根本原因を見極めること、何が原因でどのような結果になったのかの論理立てができること、ということになるかと思います。

 

Q10. 日本マイクロソフトでの業務に一番必要な能力は何だと思いますか。

A10. Passion (情熱、熱意) だと思います。

マイクロソフトの製品やサービスを使っていただくことで、日本のIT業界 (IT関連製品・サービスの開発に携わる方々) やそれを使う人々が、もっと便利になる・もっと能力を伸ばせるという思いを持って業務を行っている人が強いと思います。

 


こちらをお読みいただいて、実際にお話を聞いてみたいと思われた学生 (& 教職員、学校関係者) の方々、いらっしゃいましたら、コメントにてメッセージいただけましたらと思います。(私の方で操作しない限り、コメントは一般には表示されません)