Windows 8 Release Preview 提供開始

本日、Windows 8 Release Preview のダウンロードが 14 言語で開始されます。最後のプレリリース版である Release Preview には、Windows 8 本体と Internet Explorer 10 のほか、Hotmail、SkyDrive、Messenger に接続するアプリをはじめとするさまざまな新しい Windows 8 アプリ、そして Windows ストアをとおして提供される何百もの新しいアプリや更新されたアプリが含まれます。昨年 9 月に公開された最初のプレビュー リリース以来、Windows 8 は何百万人ものユーザーによって日常的に使用されています。テスト使用しているユーザーの数はそれをさらに何百万も上回り、時間数にして何億時間もにのぼるテスティングが行われていることになります。プレリリースでのテスティングにこれだけ多くの方々が労力を注ぎ込んでくださったことに、心から感謝します。また、お寄せいただいた多くのフィードバックに対しても同じ思いです。直接のフィードバックと使用状況データという形のフィードバックによって、何百もの目に見える変更と、何万もの内部的な変更を製品に組み込むことができました。

Windows 8 の設計と開発についての対話を行う場としてこのブログが開設されたのは、わずか 9 か月前のことです。それ以来、機能や設計、それらの背景にあるものなど、Windows 8 の構築についてさまざまな踏み込んだ話し合いが行われました。投稿記事の数は 70 を超え、印刷すれば 500 ページ以上のボリュームとなっています。また、投稿されたビデオは 34 本、再生時間にして 90 分以上にのぼります。これらはいずれも、製品に携わるエンジニアたちが自ら執筆ないし製作したものです。コメントを投稿したユーザーは約 7,000 人、コメント件数は約 18,000 件です。対話に参加した Windows エンジニアは 170 名以上で、私も 200 件を超えるコメントを投稿しています (しかしながら、ある熱心な読者の方のコメント数には及びませんでした)。また、マイルストーンごとに、テクノロジに対する関心の強い何百万ものユーザーから製品利用統計情報が集まっており、これにも注意深く目を通してきました。

これが Windows の特異性です。これだけ多くのユーザーに利用される製品でありながら、開発過程のさまざまな選択肢やプロセスについてこれほどオープンに公開される製品は、他に類を見ません。設計が議論され、製品が積極的に使用される中、これがいまだ活発に開発中の製品であることを、時として忘れてしまいそうなことさえあります。肯定意見、議論、そして意見の不一致でさえも、Windows の開発において重要な役割を果たしています。チップセットからエクスペリエンスまで、Windows のあらゆる側面を刷新する今回の開発プロセスにおいては、このことがこれまで以上に大きな意味を持ちます。Windows 8 は、新しいハードウェア サポート、新しい操作モデル、新しいシナリオ、新しい API、その他多くの新しい要素を実現しながら、同時に 5 億 5,000 万台以上の PC にインストールされ、世界中で使用されている Windows 7 の使用感を継承し、さらに先へと推し進めます。Windows 8 向けに設計された新世代の PC や、Windows 8 の新しいプラットフォームを活かした新世代のアプリの登場が、すぐそこまで近づいています。

このブログでいただくレスポンスや、ブログの投稿内容を取り上げてくださった記事に対しては、チーム一同、深い敬意を覚えると共に、常に謙虚な気持ちで受け止めています。この場を借りて、改めて感謝したいと思います。

次のマイルストーンは、RTM (Release to Manufacturing) と呼ばれるものです。これまでの Windows のリリースと同様、Windows 8 でも、製品の改良は RTM まで続きます。Windows 8 Release Preview が何百万人ものユーザーにダウンロードされ、使用されていくにあたって、私たちが対応の基準とするフィードバックの種類について、ここで簡単に説明しておきたいと思います。

今後 RTM まで開発の焦点が置かれるのは、Windows 8 の品質を、私たちが重視するすべての尺度において、Windows 7 よりも優れたレベルに維持することです。これには、継続的な信頼性、コア部分のセキュリティ、PC、ソフトウェア、および周辺機器の互換性、リソース使用量などが含まれます。製品に組み込まれた遠隔測定機能をフルに活用して、セットアップから実際の使用時まで、製品利用統計情報を収集し、実際の使用環境での Release Preview のエクスペリエンスとその推移を分析していきます。また、Microsoft のフォーラムを注意深くモニタリングし、PC、ソフトウェア、周辺機器の互換性についての再現可能な問題のレポートを収集します。Windows 8 の完成に向けて、今後も製品のあらゆる側面に目を配っていきますが、特に重要な点を挙げておきたいと思います。

  • インストール - セットアップ プロセスでは、製品利用統計情報やログの収集が集中的に行われます。Windows 8 のセットアップそのものが完了できないケースについては、当然ながら十分に情報を集めたいと考えています。Windows 7 からのアップグレードについても同様です。インストールの要件や注意事項については、ダウンロード ページに詳しく記載していますので、必ずご確認ください。
  • セキュリティとプライバシー - 脆弱性についての対策は、当然重視されます。市場に流通する他の製品と同様の基準に応じて、対応を行います。
  • 信頼性と応答性 - 製品のクラッシュについての報告をモニタリングし、多くのユーザーに影響する問題点を洗い出します。こういった問題の原因としては、Windows のコード、Microsoft またはサード パーティのドライバー、サード パーティのアプリなどが考えられます。クラッシュについての情報はリアルタイムで Microsoft に送信され、注意深く観察されています。Windows ストアで提供される何百もの新しいアプリについても、多くのデータが集まります。
  • デバイスのインストールと互換性 - Windows Update からドライバーをダウンロードしたり、製造元のセットアップ プログラムをとおしてドライバーをインストールすると、プラグ アンド プレイ (PnP) ID プログラムによってそのダウンロードの情報が収集されます。Consumer Preview では、何百万もの固有の PnP ID を確認することができました。また、ドライバーを見つけられなかったデバイスについても ID が収集されます。プラグ アンド プレイ Web サービスは常時更新されており、各デバイスについての情報 (ドライバーの利用可否、使用手順など) へのポインターが追加されていきます。Windows 7 ベースの製品の初回インストールが成功しなかった場合に、必要となった互換モードの使用状況についても、積極的なモニタリングを行っています。
  • ソフトウェアの互換性 - デバイスの互換性と同じく、ソフトウェアについてもインストール プロセスをモニタリングし、インストールが成功しなかったプログラムを記録しています。互換性を改善し、RTM に向けた作業に織り込んでいくメカニズムが用意されている点は、前述のとおりです。ここでも、Windows 7 ベースの製品の初回インストールが成功しなかった場合に、必要となった互換モードの使用状況を積極的にモニタリングします。Release Preview の提供開始に向けて、これまでに世界中の何千もの複雑な商用ソフトウェアについてテストが行われています。
  • サービス - Windows 8 のサービス機能について引き続きテストするため、Windows Update で更新プログラムを提供していく予定です。これには新しいドライバーや Windows 8 の更新プログラムが含まれ、一部は計画的なロールアウトの一環として近日中に提供される見込みです。なお、テスト用の更新プログラムにはその旨が記載されます。また、新しいコードに重要な問題が見つかった場合に、その修正のためのプログラムが提供される可能性もあります。これらの取り組みはいずれも、サービス パイプラインを検証すると共に、Release Preview の品質を維持することに役立ちます。
  • 新しいハードウェア - 多くのユーザーがビルド 8400 の使用を始めるにあたって、多くの新しいハードウェアとの連動性を確保する必要があります。これは、今後発生する可能性のある修正の中でも、特に重要なカテゴリと言えるかもしれません。PC やハードウェアを製造するパートナー各社では、まったく新しい PC の製作を進めており、市場にとっても OS にとっても前例のないハードウェアの組み合わせが使用されます。こういった新しい PC やハードウェアに適切なサポートを提供できるよう、Microsoft とパートナー各社が協力して取り組みを進めています。

お気付きの方もいらっしゃるように、RP そのものは、実は 1 週間以上前にコンパイルが完了しています (ビルド 8400)。このようにタイムラグがあるのは、ローカライズ版ビルドの製作や、ダウンロード イメージとプロセスの検証、大規模なダウンロード イベントに向けたネットワーク周りの準備などが必要なためです。

RTM への道筋は入念に計画されています。これは、PC を製造するパートナー各社に高品質な Windows 8 をスムーズに手渡すうえで不可欠なことです。RP から RTM までの間に製品に加えられる変更は、いずれも注意深く検討された計画的なものです。計画されている変更の中には (過去の記事でお話ししてきたとおり) ユーザー エクスペリエンス関連の具体的な機能変更もいくつか含まれます。Windows のような複雑な製品を市場に送り出すにあたっては、プロセスの終盤でこのような手順を踏むことが定石となっています。この段階でコードに加えられる変更はすべて、多くのメンバーによって精査されます。開発担当者とテスト担当者の両方がさまざまなチームから参加し、ごくわずかなコードの変更を何人ものエンジニアの手によって行っていきます。Microsoft では、大きな製品の出荷では "すべてをゆっくり行う" 必要がある、とよく言われます。RTM が近づくにつれて、品質確保の重要性はこれまでよりもさらに高まります。新しい PC への搭載や一般販売に向けて完成形の製品を準備するべく、ひとつひとつの変更に細心の注意を払いながら作業を進めています。

RTM そのものは、特定の時点というより、製品開発の一つのフェーズです。これまでのバージョンの流れをくんで Windows 8 も 100 以上の言語で提供を予定しており、現在も世界中の様々な市場に向けた最終版の製品が準備されつつあります。このプロセスが終わりに近づくとコードの変更も終了し、Windows 8 は "サービス" の段階に入ります。これ以降の変更は修正プログラム (サポート技術情報の記事) や、Windows Update 経由のサービスとして提供されます。Windows Update による修正プログラムの提供が可能になったことによって、RTM リリースのあり方も当然ながら変化しているため、Windows 7 と同様に、製品の完成から間を置かずに更新プログラムが提供されることも十分に考えられます。これは特に想定外のことではありませんが、このブログの読者の皆さんには、今後の流れを把握していただけるよう、念のため改めてお知らせしておきます。

RTM の段階に入ると、パートナー各社は最終イメージの作成と PC の製造を開始し、ハードウェアおよびソフトウェアのベンダーが Windows 8 のサポートと新しい製品を準備します。また、Microsoft でも世界各国での出荷に向けて小売り用パッケージの製造を始めます。また、エンタープライズ顧客との共同作業も続行され、ボリューム ライセンス関連のツールや製品の準備が進みます。

また、既にお知らせしたように、現時点で Windows 7 搭載の PC を新たに購入された場合は、PC パートナー各社の協力により、Windows 8 へのアップグレード対応も万全です。

この段階で私たちが最も重視している尺度は、Windows 8 をあらゆる面で可能な限り高品質にしあげて提供することです。RTM のプロセスは、システム全体にわたるエンジニアリング面の整合性を確保しつつ、注意深く進められます。 

PC が市場に出回る実際のタイミングは、最終的には製造元のパートナー各社が決定します。Windows 8 および Windows RT に対するフィードバックや製品利用統計情報が私たちの期待に沿ったものであれば、約 2 か月後に RTM プロセスの最終フェーズに入ります。このフェーズが滞りなく進行すれば、私たちの共通の目標どおり、歳末シーズンには Windows 8 と Windows RT を搭載した PC が市場に出回ることになるでしょう。

Windows チームを代表して

Steven Sinofsky

追記: Release Preview のシステム要件、リリース ノート、アップグレード手順、その他インストールや使用手順の詳細については、ダウンロード ページに記載していますので、ぜひご覧ください。