おそらく多くの方が既にご存知のように、Windows 8 Developer Preview がリリースされました。このビルドは、Windows 8 の新しい機能や新たに提供されるツールを使って、開発者にアプリの開発を始めてもらうことを主旨として設計されたものです。各サブシステムにわたって本質的には完成していますが、私たちの基準でベータと呼べるレベルには、まだ達していません。Windows 用のハードウェア/ソフトウェア/周辺機器のエコシステムは多様に発展しているため、全体的なエクスペリエンスを形成するさまざまなパーツが利用可能になるタイミングには、ずれが生じます。Windows 8 は開発者プレビューの段階に入りましたが、Windows 8 の新しいハードウェア固有の要素を体験できる PC ハードウェアは、まだ出揃っていません。もちろん、Windows 8 はすべての Windows 7 PC にとってすばらしいアップグレード (またはクリーン インストール) となることを前提に設計されていますが、Windows 8 の新たな魅力に光を当てる新しいシナリオやフォーム ファクターを、早く試してみたいと思っている方も多いことでしょう。

Windows 8 PC というものはまだ存在しませんが、私たちのチームのラボには Windows 8 の新しい機能をテストするために使っている PC があります。開発初期のシステムを PC メーカーと密接に協力してテストしているためで、これは今後も続行される作業です。しかし同時に、読者の皆さんに Windows 8 の新しいタッチ機能を体験していただけるよう、私たちが作業に使用していたタッチ対応のシステムについての情報をお知らせしておきたいと考えました。ここでご紹介するのは、網羅的なリストではなく、まして推奨、認定、"ロゴ付き" などのリストでもありません。単に、私たちが使用した経験のあるマシンのリストであり、その経験を皆さんと共有するためのものです。専用の Windows 8 マシンが登場する前に、Windows 8 の最新のシナリオや要素の一部を経験したいと思っている方にとっては、よい手掛かりになるのではないかと思います。

そこで、この記事では Windows 7 用に設計された PC に搭載されており、Windows 8 でも動作するタッチ インターフェイスについてご紹介します。Windows のテスティング全般を担当するコーポレート バイス プレジデントである Grant George と HIP チーム所属のテスト管理者である Jeff Piira が共同でこの記事を執筆しました。

--Steven

PC エコシステムの歴史の中で、私たちはマシン - ヒューマン インターフェイスの進化を何度も目にしてきました。最初はコマンド ライン インターフェイスの時代です。黒い画面にコマンドを打ち込むのに必要なのはキーボードだけでした。次にやってきたグラフィカル ユーザー インターフェイスの時代では、キーボードに加えてマウスがサポートされました。マウスにより、ウィンドウ、アイコン、メニュー、ポインターなどを使った対話的な操作が容易になりました。近年は自然なユーザー インターフェイスを重視する傾向が強まり続けており、ユーザーはキーボードやマウスだけではなく、タッチ操作を使うようになっています。ユーザーがテクノロジを使用する方法の進化により、タッチ インターフェイスはかつてないほど広く浸透しており、現在では 3 インチの携帯電話から電子書籍リーダー、ノート、大型のデスクトップ画面、POS デバイス、キオスクなど、多種多様なデバイスで見られるようになっています。いたるところでタッチ操作が採用され、定着しています。

Windows 8 では、タッチ操作を第一級の入力メカニズムとして受け入れるための次のステップとして、ユーザー インターフェイスだけでなく、他の多くのプラットフォーム要素も進化させています。このブログ記事の目標は Windows 8 におけるタッチ操作の全体的なストーリーを紹介することではなく (これはもう少し後に扱う予定です)、ハードウェアとその進化、Windows 8 がタッチ操作のエコシステムに何をもたらすか、といったストーリーを語ることです。

どのタッチ インターフェイスも、それぞれの特色を出すために、開発や改良が行われています。しかしエンド ユーザーにとって最も重要なのは、タッチ操作でデバイスを扱う際のエクスペリエンスのスムーズさ、応答性、自然さなどです。このパフォーマンス感こそ、Windows 8 において高い優先度で取り組んだ点です。

タッチ操作のパフォーマンスを定量化するのは簡単な仕事ではなく、考慮すべき要素はたくさんあります。それらの中で、ソフトウェアの入力スタックがハードウェアに反応する速度は主要なファクターです。没入型のタッチ エクスペリエンスの "フィーリング" を向上させる上で、ソフトウェアの最適化も重要ですが、ハードウェアも非常に大きな役割を果たします。Windows 8 での私たちのアプローチの 1 つは、タッチ操作のこの部分において業界のリーダーたちと深いパートナーシップを持つことであり、これは非常に大きな効果を生みました。

Windows 8 での変化のもう 1 つの要素として、タッチ エクスペリエンスに対する私たちのアプローチがあります。早い段階で注力することに決めていたのは、主要なユーザー エクスペリエンスをタッチ操作用に設計するだけでなく、タッチ操作に向けて完全に最適化することです。些細なことに聞こえるかもしれませんが、この決定は既存ハードウェア上での Windows 8 の評価方法と、ハードウェア パートナーとのコミュニケーションのあり方を根本から変えるものでした。要件やテストはすべて、ハードウェアを中心にした特定の機能ではなく、ユーザー エクスペリエンスをベースに考えられています。このことは、ハードウェアができることとソフトウェアが期待することとの間にギャップができないようにするのに役立ちます。

では、私たちが定義する、Windows 8 における優れたタッチ エクスペリエンスとはどのようなものでしょうか?

  • パンとタッチの反応が正確でスムーズ (私たちはこれを "指に吸いつく" パンと呼んでいます)
  • タッチの視覚化が直接的で即座に行われる
  • 指による UI のターゲティングがシームレスで確実
  • オン スクリーンでのタイピングが迅速、効率的、かつ応答性に優れる
  • タッチ アプリケーションのエクスペリエンスに一貫性がある。アプリケーションのタッチ操作がどのデバイス上でも同じように動作する

タッチ ハードウェアのカバー範囲

タッチ対応 Windows PC の市場は幅広いため、初期の開発においては、流通している既存のデバイスに集中することにしました。最もよく使用している比較的新しい Windows 7 システムの一部を次に示します。

  • HP Elitebook 2740p および 2760p コンバーチブル PC
  • ASUS EP121 タブレット
  • Dell Inspiron Duo コンバーチブル PC
  • Lenovo X201 および X220T コンバーチブル PC
  • 3M M2256PW 22 インチ ディスプレイ

Windows 8 のテスティングは、もっと多くの流通中のシステムを使用して行っています。タッチの品質にかかわるのは、タッチスクリーンとそのユーザーとの関係だけではありません。システム全体をテストする際には、ベゼルのデザイン、グラフィック、CPU、カバー ガラスなども Windows 8 のタッチ エクスペリエンスに影響を与えます。私たちは現在 Windows 7 で動作しているハードウェアをサポートし続けることに注力しており、アップグレードするユーザーに優れたエクスペリエンスを提供できるよう努力しています。Windows 8 の開発サイクルが進行していく今後も、流通中の既存システムへの対応について、このブログで進捗状況をアナウンスしていきます。

さまざまなノート PC、タブレット、およびデスクトップ マシンが並ぶ Windows テスト ラボの画像

以下は現在テスト ラボにあるデバイスの一覧です。

3M M2256PW

Dell ST2220Tc

HP TouchSmart IQ526t

Acer Aspire 1420P (PDC)

Dell Studio 1747

Lenovo C320

Acer Aspire 1825PT

Dell Studio One

Lenovo S10-3t

Acer Aspire 5738PG

Dell SX2210T

Lenovo ThinkPad T410s

Acer Aspire Z5610

Elo 1522L

Lenovo ThinkPad X201T

Acer Iconia

EXOPC

Lenovo ThinkPad X220T

Acer T230H

Fujitsu Lifebook T4310

Lenovo ThinkPad X60

Acer W500

HP Compaq L2105tm

NEC MultiSync LCD175M

ASUS EP121

HP EliteBook 2740p

Planar PX2230MW

ASUS TCA70

HP Mini 5102

Samsung Series 7 XE700T1A

Dell Inspiron 2305

HP Pavilion tx2000

Sony VAIO J シリーズ

Dell Inspiron Duo

HP Pavillion dv3t-2000

Sony VAIO L シリーズ

Dell Inspiron One 2305

HP Tablet 500

Sony VPCL113FX/B

Dell Latitude E6420

HP TouchSmart 610

Sony VPCL218FW

Dell Latitude XT

HP TouchSmart IQ500

Toshiba Portege M700

Dell ST2220T

HP TouchSmart TX2Z

Toshiba Satellite Har/Kar

タッチ機能のテスト

ハードウェアとソフトウェアの連携を確認するために実行するテストの例をいくつかご紹介します。最初のテストでは、画面の端から内側へと指をスワイプすることによってアクセスする Windows 8 の新機能、Search (検索)、Share (共有)、Settings (設定) などを扱います (これらの機能については今後の投稿でもっと詳しくお話しします)。

[Search] (検索)、[Share] (共有)、[Devices] (デバイス)、[Settings] (設定) の各 charm (チャーム) が右端に表示された Windows 8 の [Start] (スタート) 画面

端から内側へのスワイプにおいて最良のエクスペリエンスを得るためには、アクティブな画面全体で、画面端の最初の 1 ピクセルから、タッチが正しく反応する必要があります。このため私たちは、画面の端でスワイプが常に正しく認識されていることを確認するためのツールを開発しました。

スムーズなパンのエクスペリエンスを確保するために、タッチ操作によるパンとハードウェアの反応の間のレイテンシには要件を設定しています。高速度カメラを使って、ユーザーが画面にタッチしてから、そのアクションがディスプレイに反映されるまでの入力ラグまたは遅延を計測します。ラグが少なく、ユーザーの指とドラッグされているオブジェクトの間の距離が短いほどよいということになります。

Windows 8 のための新しいタッチ ハードウェアの構築

ユーザー エクスペリエンスを要件のトップに置きつつ、Windows 8 ではコンピューティング デバイスの新しい世代がキック オフされます。タッチスクリーン技術がそれと共に進化するのは自然なことと言えるでしょう。Windows チームの目標は、外部のハードウェア パートナーがより完全に Windows 8 の要件をサポートする新しいハードウェアを開発できるように緊密に協力し、最終的には Windows ユーザーが期待するような、スムーズで応答性が高い自然なタッチ エクスペリエンスを提供することです。タッチ ハードウェアのパートナー、サプライヤー、IHV (独立系ハードウェア ベンダー)、および PC メーカーとの継続的な共同作業は、Windows 8 における没入型で直感的なタッチ エクスペリエンスの提供に役立つことと思います。

--Grant and Jeff