昨日は、Windows 8 に伴う非常に大きなチャンスについてご紹介しましたが、開発者の皆さんからとても暖かい歓迎を受け、たいへん嬉しく思っています。今後この B8 ブログでは、Developer Preview とそれに含まれる機能、そして今後の進化に焦点を移していきたいと思います。ブログでの対話に参加される皆さんが、このビルドをインストールし、使用されることを願っています。これは初期段階のビルドで、開発者向けのものですが、かなり楽しく使えもします。私自身、カンファレンスからの投稿にはすべてあの Samsung 製プレビュー用タブレットを使っています!

Metro スタイルのブラウジングと、正真正銘のクロームなしのブラウジング エクスペリエンスを実現するために私たちがやってきたことについて、少しお話したいと考えました。最高のパフォーマンスと信頼性、および高い評価を受けている IE のセキュリティ機能と合わせて、HTML5 と標準のサポートに私たちはかなり力を入れています。同じ HTML5 テクノロジを使用するデスクトップ エクスペリエンスについても、引き続き改良を図り、提供していきます。これが、私たちが IE10 で妥協のないブラウジング エクスペリエンスを実現するやり方です。この投稿では、Windows 8 開発者向けプレビュー リリースに付属の IE10 Platform Preview 3 について説明します。この投稿は Dean が執筆しました。--Steven

ブラウザー エクスペリエンスの進化には、単なるタッチ デバイスへの移植にとどまらない要素が数多く関連します。Windows 8 を実行するフォーム ファクターの種類を問わず、最高のブラウジングを実現するために、IE のエクスペリエンスと基盤となっているアーキテクチャを刷新しました。

Windows 8 では、まず、1 つのエンジンで 2 種類のエクスペリエンスを提供する、高性能な HTML5 ブラウジング エンジンの開発に取り組みました。このエンジン 1 つで、Web 標準の強力なサポート、ハードウェア アクセラレータによるパフォーマンスの向上、セキュリティ、プライバシーなどを実現します。次に、このエンジンを基に、2 種類のエクスペリエンスを開発しました。新しい Metro スタイルのエクスペリエンスと、より従来のものに近い、タブと最小限の "クローム" を使用した現世代型のデスクトップ ブラウザーです。

その結果、1 つのデバイスで両方のエクスペリエンスを、しかも妥協のない品質で利用でき、没入型のタブレットとしても、柔軟なノート PC としてもデバイスを活用できます。高性能なマルチ モニターのデスクトップで、この 2 つのエクスペリエンスを得ることもできます。妥協の必要はありません。

Windows 8 の Metro スタイルのブラウザーでは、HTML5 を使った Web サイトで、最高品質の没入型のタッチ主導エクスペリエンスを利用できます。また、より従来のものに近いウィンドウとタブを使用した操作をお好みの場合、デスクトップ用 IE で、これまで以上に快適に利用することができます。どちらも、同じ IE10 エンジンを基盤としています。

まったく新しい Metro スタイルのエクスペリエンスの開発を進めるうちに、おもしろいことがありました。大きな画面、デスクトップ コンピューター、マウス、キーボードを使用している場合でも、Metro スタイルの方がブラウズの手段としてより優れている可能性があることに気付いたのです。これはタッチ主導のブラウザーですが、キーボードとマウスまたはトラックパッドでも快適に使用できます。携帯電話でブラウズすることが多くなっている方なら、ブラウザーに "クローム" 部分がほとんどないことや、従来よりはるかに視覚的なタブ操作、より没入型で "デスクトップ性" が薄く、手を使った作業に近いブラウズ エクスペリエンスに慣れてきていると思います。そんな方はデスクトップ用よりも Metro スタイルの Internet Explorer 10 の方を気に入っていただけるかもしれません。

念のため書いておくと、現在の Windows Developer Preview に含まれる Metro スタイルのブラウザーは開発者向けであり、コンシューマー向けではありません。このエクスペリエンスをコンシューマーが利用できるようにするために、開発者コミュニティにご協力いただかなくてはならないことがあります (たとえば、サイトで使用している、IE10 では適切に処理されない古いライブラリ (英語) を更新する、既に他のデバイスではプラグインなしで実行できているサイトが Metro スタイルのブラウザーでも同様に機能するようにするなど)。

1 つのエンジン、2 つのエクスペリエンス

デスクトップ IE と Metro スタイル IE の両方で HTML5 を強力にサポートすることが非常に重要なため、同じ IE10 のエンジンのアーキテクチャで両方のエクスペリエンスを提供することにしました。閲覧の履歴、入力したアドレス、設定などは、両方のエクスペリエンスで共有されます。共通エンジンによって、今日のサイトでも、Metro スタイルのアプリケーションでも、常に高速で安全、強力なエクスペリエンスが得られます。

  • パフォーマンス: Metro スタイルの IE は、デスクトップ用の IE と同じ、業界で最高レベルのパフォーマンスを備えています。これには、グラフィック、ビデオ、オーディオの最大限のハードウェア アクセラレーション、JavaScript のコンパイル、タッチ操作の応答性を向上するための新しいレイアウトと書式設定エンジンの最適化などが含まれます。
  • 安全性: Metro スタイルの IE は、セキュリティ、プライバシー、および信頼性機能についても、デスクトップ用の IE と同じく業界で最高レベルの機能を備えています。これには、SmartScreen、XSS フィルター、InPrivate ブラウズが含まれます。
  • HTML5: Metro スタイルの IE では、デスクトップ用の IE と同じく、よりリッチな HTML5 Web プログラミング モデルへの取り組みを重視しています。BUILD では、IE10 の以前の Platform Preview リリースで導入された機能に加え、CSS テキスト シャドウ、CSS 3D トランスフォーム、IndexedDB、WebSocket、HTML5 File API、HTML5 History、ハイフネーション、CSS トランジションと CSS アニメーション、HTML5 アプリケーション キャッシュのサポートを新たに披露しています。

デスクトップ IE の詳細と、基盤の Trident ブラウザー エンジンおよび Chakra JavaScript エンジンの技術的な詳細については、IE ブログを参照してください。

Metro style アプリとして生まれ変わるブラウザー

IE を Metro スタイルのアプリケーションとして刷新したときに、Web を進化させるまったく新しい方法を見出しました。

たとえば、Metro スタイルは没入型です。Metro スタイルの IE で表示される Web ページには、余分な視覚情報がまったくありません。標準的なジェスチャを使用して、Web から気がそらされることなく、機能にアクセスできます。他の Metro スタイルのアプリケーションと同様に、Metro スタイルの IE でも "チャーム" を使用して、検索や共有が可能です。たとえば、Devices (デバイス) チャームを使用して、Web ページのビデオを外部デバイスで再生および映写できます。また、"スナップ" 機能によって IE を他の Metro スタイル アプリケーションと左右にくっつけて使用できます。Web サイトと Metro スタイルのアプリケーションの連携を前提に開発しているため、組み合わせて使用しやすくなっています。

新しい Metro スタイルは、視覚的デザインの領域にとどまるものではありません。たとえば、より少ない入力で、重要なサイトにアクセスできます。新しいタブを開くか、アドレス バーを表示すると、よく利用する Web サイトやピン留めした Web サイトが、タッチ操作がしやすいビジュアルなリストとして表示されます。

[Frequent] (よく使うサイト)" と [Pinned] (ピン留めされたサイト) という見出しの下にそれぞれいくつかのタイルが表示され、その下に Web アドレス バーとスクリーン キーボードが表示された画像
Metro スタイルのブラウザーで、タッチ操作のしやすいビジュアルなリストとして表示されたよく利用するサイトとピン留めされたサイト

アドレス バーに入力すると、この一覧がフィルターされます。開いているタブの一覧を表示すると、目的のサイトが開かれていない場合にすぐにそのサイトにアクセスできるように、アドレス バーが直ちに表示されます。

BUILD Web サイトを開いている Metro スタイルのブラウザーで、Web ページの上に開いているタブがいくつか表示され、画面下部にアドレス バーが表示されている画像
開いているタブの一覧とアドレス バーが表示された Metro スタイルのブラウザー

スペルチェックとオートコンプリートも、サイトの使用時に必要な入力を軽減します。また、InPrivate や追跡防止を有効にしたブラウズも可能です。

気になる Web サイトに簡単にアクセスして作業できるようにするには、Metro スタイルのアプリケーションをピン留めするのと同様に、新しい Windows 8 の [Start] (スタート) 画面に Web サイトをピン留めできます。

[Start] (スタート) 画面へのサイトのピン留め
[Start] (スタート) 画面へのサイトのピン留め

IE10 では、タッチ操作がしやすいように、コントロール (チェック ボックスやラジオ ボタンなど) は周囲のスペースを広く取って表示されます。開発者は、コントロールのスタイルを設定する CSS など、標準の Web パターンを使用して、Web ページをはるかにタッチ操作がしやすいページにすることができます。たとえば、次の図は、カスタムの背景イメージと HTML5 のレンジ型の入力 (英語) コントロールを示しています。

HTML5 コントロールとカスタムの背景イメージの IE10 での表示 (上の 2 画像)、Chrome での表示 (左下)、Mozilla Firefox での表示 (右下)
HTML5 コントロールとカスタムの背景イメージの IE10 での表示 (上の 2 画像)、Chrome での表示 (左下)、
Mozilla Firefox での表示 (右下)

Metro スタイルの IE では、タッチによるパン操作とピンチによるズームをサポートしています。HTML5 エンジンがハードウェア アクセラレーションを最大限活用するため、システムの他の機能と同様に、速く滑らかにページを操作できます。このことは、スクロールやパン操作のパフォーマンスから、おわかりいただけます。

以下は、そのパフォーマンスと、その他のブラウジング エクスペリエンスを紹介するデモです。


ビデオをダウンロードしてお好みのメディア プレーヤーで再生することができます:
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Metro スタイルの IE: 今後を見据えて

この新しいブラウザー エクスペリエンスの結果として、Web を進化させる新しいチャンスが私たちの目の前にあります。それを最大限に活かすには、サイト開発者にご協力いただかなくてはならない作業があります。タッチ操作も、没入型のエクスペリエンスも非常に重要です。現在、人々が Web に費やしている時間を考えれば、目の前にあるチャンスは膨大です。

現在の Windows Developer Preview は開発者向けであり、コンシューマー向けではありません。たとえば、既に他のデバイスではプラグインなし (英語) で実行できているサイトが IE10 でも同様に機能するように対応が必要です。同様に、IE10 では適切に処理されない古いライブラリ (英語) をサイトで使用している場合は、更新が必要な可能性があります。また、一般が Windows リリースに期待する互換性を確保できる、現在のデスクトップ スタイルのブラウザーを含めることも、重要です。

悲観的な意見の人は、"ブラウザーが 2 つある" ことを批判するかもしれません。実際にはブラウジング エンジンはあくまでも 1 つで、このエンジンを 2 種類の "スキン" を通して使用しているだけなのです。デスクトップ ブラウザーが今後も多くのユーザーの生活において重要な役割を果たしながらも、時と共に、Metro スタイルのエクスペリエンスが主要なブラウズ シナリオに使用されるケースが増えていくと思われます。Windows 8 では、どちらかのスタイルを既定に設定することも、この 2 つのスタイル間をシームレスに切り替えることも、他のブラウザーを使用することもできます。

悲観的な意見の人は、それぞれのブラウザー スタイルの持つ特徴についてその必要性または不要性を問題にしようとするかもしれません。Metro の世界に完全に没入したい場合、そうすることができます。デスクトップ スタイルは目に入ることさえなく、明示的に起動されない限り、Windows はデスクトップ用のコードを読み込みません。しかしデスクトップが提供するさまざまな価値、たとえば精密な操作、強力なウィンドウ機能やファイル管理、プラグインとの互換性などが必要な場合、すぐにこれらの機能を呼び出すことができます。1 つのデバイスしか持たない場合でも、ユーザーのニーズに応える、妥協のないエクスペリエンスを実現できるよう、アーキテクチャにしてもデザインにしても慎重に検討を重ねています。あなたにとって一番使いやすい場所からブラウジングを楽しんでください。

Dean Hachamovitch